Contract love ～偽装恋愛～ 14 (ページ22)

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身勝手な嫌な女ページ22

部屋を出て、
そのままドアに寄りかかるようにして、
目を閉じた。

怒らせちゃったな…
でも、
それでもやっぱり、
あのままあの場にいて、
言葉にして聞く事は耐えられなかった。
でも、
こうなってしまっては、
何が正解なのか、
これで良かったのか、
全然わからなくなっていた。

A「はぁ…。」

溜息をついて、
目を開けると、
隣の自分の部屋へと入った。

久しぶりにこっちの部屋に入る。
今はたまに空気の入れ替えや掃除に来るだけのこの部屋。
自分の荷物はほとんど、
隣の紫耀の部屋にあるから、
ここにはほとんど私の物はない。
この部屋に入る前に、
社長さんの指示で用意して頂いた家具類があるだけ。

リビングへ入り、
ソファーへ座った。
全然落ち着かないこの部屋。
静かすぎるし、
寒い。
スマホを見ると、
もう2時過ぎ。

はぁ…
溜息をついて、
目を閉じた。
また私は間違ったのかもしれない…

いろんな事があって、
長かった今日１日の最後に、
こんな事になってしまって、
こんなはずじゃなかったという気持ち。

指輪が無くなった右手の薬指。
静かで寒い、落ち着かないこの部屋。
さっき掴まれた手首の赤み。

もういいよ。

そう言った最後のあの紫耀の表情が、
耳や目、心に焼き付いて、
胸が締め付けられるように痛んだ。

でも、
やっぱり私はあのままあの場にいて、
紫耀の口から真実を聞く勇気はない。
頭では分かってても、
気持ちが追いつかない。
だって好きだから。
愛してるから。
だからこそ許せないと思う。
演技だとしても、
それって結局浮気なんじゃないの？と、
言ってしまうと思うから。
それを言ってもしょうがないのに。
仕事なんだから、
そんな事言っても、
困らせるだけだとわかってるのに。

こんなはずじゃなかったのにな。
指輪の件があって、
マネージャーに付いて、
長かった１日が終わって、
やっと2人の時間だったのにな。
いつものように、
笑顔で沢山お話しして、
沢山愛し合ってたはずだったのにな。

どれくらい呆然としていたのかな。
気がつくと、
外が明るくなっていた。

一度も鳴ることのなかったスマホを見ると、
もうすぐ7時。

追って来てくれなかったし、
連絡も無かったな…
そんな事を考えて落ち込む自分勝手な私。

自分から一緒に居たくないって言ったくせに、
自分から部屋を出たくせに…

本当に身勝手な嫌な女だな私…