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ぬれおかき ページ13

そろそろ休憩が終わる時間。

A「戻ろうか。」

紫耀「えー、、まだいいじゃん。」

この反応は想定内。
むしろ、お決まりでもある。
それでも、もう行かないと…

A「ダメ。行こう?ね?」

そっと紫耀の太ももに手を置いて、
見上げながらそう言った。

紫耀「はぁー、もうさ、俺っておかしいのかな?」

A「何故?」

紫耀「だって、Aがする事、なす事、全部にドキドキするんだよ?もうさ、出逢ってこれだけたって、一緒に住んでて、毎日一緒にいたらさ、気持ちって段々落ち着く頃じゃない?なのに、俺はダメ。全然ダメ。マジで底なしにずっと好きになるのかな。」

A「フフ。嬉しいな。」

嬉しくて、でもそんな事をストレートに言葉にしてくれた事が何だか恥ずかしくて、下を向いた。

紫耀「恥ずかしくて俯く、その癖も好きだよ。」

A「えっ?あ、ありがとう。もー、早く行こう?」

恥ずかしくて、
素っ気なくしか出来ない私。
そして、車のドアを開け降りた。

紫耀「アハハハ。はーい。」

そんな私の事もよく分かってるという感じの紫耀は、
笑いながら車から降りた。

でも、
車から降りると、
紫耀と私はタレントとマネージャー。
さっきまでの甘い空気はお互いに消し去っていた。
エレベーターに乗って、
上へ上がると、

紫耀「じゃ、トイレ行ってから戻るから。」

A「分かった。」

それだけの言葉を交わす。

別の方向へ歩いていると、
後ろから紫耀とスタッフさんが話している声が聞こえた。

スタッフ「お疲れ様。あっ、探し物あった?」

そうだった。
マズイのでは…
そう1人ドキドキしていると、

紫耀「お疲れ様です。あっ、はい。これです。笑」

焦る様子もなく、
普通のトーンでポケットからある物を取り出した。

スタッフ「えっ?これ?ハハハ!笑」

紫耀「へへ。だって、めっちゃ好きなんですって。」

その手に持たれていた物は、
ぬれおかき…
いつの間に?

ほらね。
いつだって紫耀は、
抜かりないんだよね。

スタッフさん越しに紫耀と目が合うと、
また両眼を瞑る仕草。
フフ。
ウインクしたかったのね。笑
そんな紫耀に、
上手くいったね。
そう返すように、
私は、
完全なウインクを返し、
振り返って歩き出した。

後ろからは、

紫耀「えーー!!ヤバイって!」

スタッフ「いきなりどうしたんだよ??」

そんなやり取りが聞こえていた。笑

見たくないもの→←好きが溢れるキス



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作者名:ひろみ | 作成日時:2019年11月24日 0時

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