バレてしまう前に ページ29
翌朝。
キッチンで朝食の準備をしていると、
いつもの様に、
ぼんやりした紫耀が起きてきた。
A「おはよう。笑」
紫耀「…おはよ」
相変わらず朝が弱いね。
向かい合って、朝食を食べながら、
今日の予定を話す私達。
いつもと変わらない朝。
何も変わらない。
いつもの様に幸せな朝。
紫耀はそう思ってるんでしょうね？
それでいいの。
作り笑顔の私には気付かないで…
いつもよりも早く家を出ようかな。
不安な私がバレてしまう前に…
玄関でいつもの様に見送ってくれる紫耀は、
紫耀「今日は早く行かなきゃいけないの？」
そう言いながら、寂しそうにしてくれる。
A「そうなの。ごめんね？」
紫耀「そっか…。仕事じゃ、しょうがないもんね…。頑張ってね？」
A「ありがとう。紫耀も頑張ってね？」
紫耀「うん！あっ、さっきも言ったけど、遅くなるから。先に寝てていいからね？」
今日は、最終リハがあって遅くなるらしい。
A「うん。ありがとう。」
そして、抱き締められキスをした。
深く私を求める紫耀を何とか振り切り、
急いで部屋を出た。
足早に駅へ向かう人の流れの中で、
流されるように私も歩く。
みんな下を向いて、
無表情で歩いている。
そして、私も同じ。
だから、大丈夫。
いつもよりも何本も早い電車に乗る。
すると、
主任「Aさん？」
声の方を見ると、主任がいた。
A「主任！おはようございます。」
主任「どうしたの？早いね？」
A「主任こそ。あー、でもまた主任より早く出勤する事出来なかったな。笑」
主任「だから、それは無理だって。笑」
A「明日こそは！笑」
主任「そんな事を競わなくても。笑」
A「そうですよね。笑」
それから、当然同じ所で降りて、
一緒に事務所へ向かって歩く。
主任のお陰で色々考えずに済んだ。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2019年3月12日 16時
