Contract love ～偽装恋愛～ 9 (ページ24)

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綺麗な月のような… ページ24

仕事が終わり、帰宅する。
あれから、紫耀とも神宮寺君とも顔を合わせる事はなかった。

昼間のあれは…
いくら考えても、
自分のした事が自分でも理解出来ない。

A「はぁ…」

ソファーに膝を抱え座り、動けないでいた。
自分がした事で、自分で落ち込む。
何でこんな事に？
昨日もあんなに落ちてたのに、
今日はまた違う事で落ちている…
休まる暇がないな…
まぁ、自分のせいなんだけど…

ベランダへ出た。
今日は珍しく、空気が澄んでいる。
だからかな…月がとっても綺麗。
いいな…
私も、そうなれたらな…
そんな綺麗な心が欲しい…
無理だと分かってるけどね…

今日の事を、しばらく考えて思った事は、
神宮寺君に近付くのはやめようという事。
彼には、どうしても気持ちが揺さぶられてしまう…
それは、少し前から気付いていたの。
だから、危険すぎる…
紫耀の存在が無かったら…
恐らく私は、彼に惹かれていたのかもしれない…
だから、怖いの…

そして、昼間のあの事は紫耀にわざわざ言うことではない。
そう自分に言い聞かせた。
恋人同士だからといって、
全ての事を話せばいいとは限らない。
何も無かった訳だし…
言う必要はないよね…

本当に、こんなにずるい自分が嫌になる…
でも、これでいいの。
紫耀を失っては生きていけないもの…

ある曲を思い出し、
気が付くと口ずさんでいた。
今の私に、あまりにもピッタリな歌なの。

どれくらいそうしていたのだろう…

後ろで窓が開いて、慌てた紫耀がいた。

紫耀「…はぁ…。良かった。ここに居た…。」

そう言って、抱き締められた。

A「おかえりなさい。」

大好きな腕に包まれ、大きな背中に腕を回した。

紫耀「焦った…。居ないのかと思った…」

A「…えっ？あ、ごめんね？」

紫耀「ううん。いいの。居てくれたから。体冷たいじゃん…中に入ろ？」

A「うん。」

手を引かれ、部屋の中に入った。