私を好きな人 ページ42
渡された携帯を見ると、着信が。
表示された名前は、
私を好きな人
だった。
胸がギューってなった。
どんなら思いでこの名前で登録したんだろう…
「出て？」
そう言って、携帯を耳に当てて少し離れて行った彼。
「はい。」
「A？紫耀でーす。」
「うん。笑」
「いつか、私が好きな人って変えてもらえるように俺頑張るから！」
「…うん。」
電話を切って、私の横に戻って来た。
平野君を見つめる。
「…A。俺達の出会いはこんな形だったけど、今は感謝してるんよ。Aに出逢えたんだから、出会いの形は関係ない。出会って間もないのに、こんなに胸が苦しくて、いつでも頭から離れなくて、俺だけの物になって欲しいって、こんな気持ちになる自分に、自分でもビックリなんよ…。好きだよ。彼女にしたい。これが、俺の気持ち。」
真剣な眼差しで、そう言ってくれたあなた…。
素直に嬉しかった…。
女として、好きな人からの告白なんて嬉しいに決まってる。
私もあなたが好きよ。
でも、
あなたと私は無理でしょ？
あなたは、契約の事知らされてないの？
それより、何よりも、あなたと私は釣り合わない…
「……。」
何も言えなかった…
「…答えなくていいよ…。ごめんね？」
そう言って優しく抱き締めてくれた。
ごめんなさい。
答えられなくて、ごめんなさい…
「…。」
返事の代わりに、あなたの背中に手を回し、力を入れた。
「…俺は遠慮なく、バンバン想いを伝え続けるからね？覚悟してて？笑」
抱き締めている腕の力を抜いて、顔を覗き込まれた。
「…うん。」
チュッとキスをしてくれた。
「あのさ…、こうして過ごしてるけど、その…、Aは俺の彼女じゃないじゃん？」
「…うん。」
「…でも、こんな風にキスしたり、その…抱いたりとかって…、してもいい？…Aが嫌なら、したくないから…、いや、違う！俺はめちゃくちゃしたいんやけど、Aの気持ちが大事やから、嫌なら我慢するし…。めっちゃ、キツイけど…、時々キスぐらいはしてしまうかもしれないけど…。」
最後の方は、ものすごく小さい声になってる。笑
そんな事気にしてくれるの？
本当にこの人は…
好きだな。
好きと言えないけど…
「うん。いいよ。」
「えっ？いいの？えっ？いいって、どっちも？あっ、キスだけ？」
「どっちも…。私もあなたとキスしたいし、抱いて欲しい…」
「…ヤバイ…。」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
