連絡先 ページ41
話題を変えたくて、後ろを振り向きながら、
「ねぇ聞いて？今日ね、夢が叶ったの。」
チュッとキスをされ、
「夢？なんの夢が叶ったの？」
「んっ！もう…。私ね、今日のお昼休みに、お財布持って、職場の人とランチに出たの！」
「ランチ？お財布持って？」
「うん！」
「へー。良かったやん。」
「あっ、今、そんな事？ってバカにしたでしょ？」
「してない、してない！可愛いなって思っただけ。」
「別に可愛くはないんじゃないの？でも、嬉しかった！」
「良かったね。」
「うん！」
「で？仕事は何してるの？」
やっぱり聞くんだね…
「だから、仕分けだって。笑」
「会社の名前は？場所は？」
「だから、その辺。笑」
部屋の中に入れられ、ソファーに座った。
手をにぎられ、
「何で教えてくれないの？」
「何でそんなに知りたいの？」
「だって、別に働かなくてもいいんじゃないの？他のメンバーの相手の人って、働いてないらしいし。」
「他の方はそうかもしれないけど、私は嫌なの。働いて、しっかりと生きていきたいの。自分の生活費ぐらいは、自分でって考えただけだよ。こんな生活してるけど、与えられるだけなんて嫌なの。」
「…そっか。何で俺がこんなにAに夢中になってるのかって、ちゃんとした人だからって所もあるのかもしれないな…。でも、こんなに好きな人がどこで何してるのか分からないって、やっぱりすごく不安なんだよね…。そんな俺の気持ちは知ってて？」
「…分かった。」
「ねぇ？連絡先は教えてくれる？ずっと聞きたかったんだけど…」
多分、私が教えないと言うと思ってたんだね。
どうしよう…
一瞬悩んだけど、連絡先は、いざと言う時には番号を変えればいいから、大丈夫か。
3年後、姿を消さなければいけないかもしれないから…
「…いいよ。」
「はぁー…。良かったー。これも教えないって言われると思った…」
「フフフ。はい。」
テーブルに置いていた携帯を渡した。
「…ん？」
「やり方わかんないから、お願いします。」
「OKー！」
そう言って、器用に操作してくれた。
LINEも追加してくれたみたい。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
