宣言？告白？ ページ39
「…これ、どうしたんですか？」
私の手首に残る赤い跡を、手を握ったまま親指でなぞられる。
「えっ？何でもありませんよ？笑」
「強く握られた跡ですよね？彼にされたんですか？」
凄く怒っている主任。
「いえ、違うんです。笑」
「…違うんです？違いますじゃなくて？」
鋭いな…怖いよ…
「アハハ。大丈夫ですから。ちょっと行き違いがあっただけですって。」
「こんな事されてまで耐える事ないんですよ？」
「大丈夫ですから。」
そっと、握られた手を引いた。
「俺もすみません…。ただ、心配なんです。…契約は何年ですか？」
「…3年です。」
まさか、主任、私の事…
「そうです。あなたが好きです。いや、まだ気になる段階ですが、恐らく好きになります。」
宣言？告白？
こんなパターンは初めてだ。笑
しかも、またエスパーだし。
「アハハハ。あっ、すみません。笑」
つい笑ってしまった。
「笑ってくれて嬉しいよ。」
タメ口だ…
「えっ？」
背の高い主任を見上げる。
恐らくこの人はモテる。
大人の男性としての色気と落ち着きがある…
「Aさんの笑顔が見たいって思ってしまう。何でだろ…」
「主任もなんですね？そんなに私って笑ってませんか？自分では、笑ってるつもりなんですけどね？笑」
「主任も？も？。はぁ…。彼もなんだ…。気付いているのか…」
「主任、怖い…」
「えっ？何で？」
「エスパーだし、言葉の使い方とか少しの違いで、私がすぐにバレちゃうから。」
「それだけ、あなたを知りたいと必死なんだよ。」
本気の目で私を見つめてくる。
「やめて下さい。私は3年間を捧げる身なんですから。笑」
「それは悔しいけど、でも、だからと言って、この気持ちを止められるものでもないし…。」
「主任？いい事教えてあげる。」
「何？」
背伸びして主任の耳元で、
「私はやめておいた方がいいですよ？主任の為です。じゃあ。笑」
えっ？っと言いながら、でも私を抱き締めようとした主任をかわして、会議室を出た。
ちょっとやり過ぎたかな？
つい、5年間で染み付いてしまった癖が出てしまったな…
でも、これが一番男の人から逃れられる手なんだよな…
みんな一瞬怯むから。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
