不機嫌な彼 ページ24
その時、携帯が鳴る。
弁護士さん…
慌てて、ベランダへ出て、電話に出る。
「もしもし。」
「こんばんは。」
「こんばんは。」
「メール見ました。」
さっき、タクシーの中で、全ての支払いが終わった事を連絡した。
「はい。」
「こんな事を聞くのも何ですが…。あれだけの大金をどう工面されたんですか？大丈夫なんですか？」
「ご心配お掛けしてすみま…」
その時、後ろで窓が開いた。
振り返ると、平野君が不機嫌な顔でこっちを見てる。
「…もしもし？」
「あっ、すみません。とにかく大丈夫ですから。ご心配ありがとうございます。今まで本当にお世話になりっぱなしで…。」
「いえ、いいんです。そうですか…。これで全てが終わったんですね。良かったです。…本当に良かった。これから、どうするんですか？」
その時
肩から毛布が掛けられた…
振り向くと、平野君が、またまた不機嫌な顔で、でも毛布を私に巻き付けてくれた。
「あっ、ありがとう…」
「えっ？」
「あっすみません。これからですか？どうでしょう…。このままです。笑」
「帰ってくるつもりはないのですか？」
「はい、当分の間は。」
「…じゃあ、会いに行ってもいいですか？」
「えっ？東京に来られるんですか？」
「はい。」
「お世話になりましたし、その時はご飯でも…」
「いいんですか？やった！また連絡します！」
「フフフ。はい。笑」
後ろで、物凄い咳払いが…
振り向くと、不機嫌オーラ全開の彼。
「では、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
電話を切って、部屋の中へ。
「来てたんだね。」
「うん。来たら、居なかったから、勝手に入って、ずっと、ずっと、ずっと待ってたら、寝てた。でも、起きたら、今度は電話が終わるのをずっと待った。」
ずっと、ずっと、すごくそこを強調したいんだね。
「ごめんね？毛布ありがとう。」
巻いてくれた毛布を取り、畳んでソファーに置いた。
「…どこ行ってたの？」
また？
彼氏でもないのに、彼氏のような言葉を発するんだね…
「…。」
「また？俺に言えない所？はぁ…。」
こちらが、また？だから…
言う必要がないでしょ？
知る必要もないと思う。
「…。」
「何で何も言わないの？電話は？誰？男の声したけど…。それに、ご飯って何？行くの？そいつと2人で？」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
