Contract love ～偽装恋愛～ (ページ19)

今日:6 hit、昨日:20 hit、合計:753,909 hit

紫耀side 出会いページ19

ある日、それは突然。思いもよらない話だった。

社長「平野君、君に女の人を紹介するから。今日帰ったら、隣の部屋に行きなさい。その人を好きになってもいい。とにかく、その人と出来るだけ同じ時間を過ごしてみなさい。君にとって、とても刺激的で成長させてくれる人だから。これから、この仕事で頑張って行く上で、君にとって大きな財産になるからね。あと、これは君だけじゃなく、メンバーみんなそれぞれに女の人を紹介してるからね。だから、構えず、とりあえずその女の人と仲良くなってみなさい。」

理解できない話だった。
結局、俺に女の人をあてがうって事なのか？
社長には、絶対に逆らえない…
とりあえず、その女の人に会ってみるしかないのか…

家に帰り、少しして隣の部屋に行く事にした。
とりあえず、その人に会って、挨拶だけしておけば、それでいいんでしょ？

社長がお金で用意したそんな女の人と関わる気なんて更々無いから。
彼女を作ったりして、面倒な事にならない為に、そういう事をする相手を用意し、だから他で遊ぶなよって事だよね？
そんなの大きなお世話だ。

そんな気は無いからって、最初にガツンと言っておかなきゃ。
期待されても迷惑だし。

そう意気込んで、部屋を出た。
隣の部屋に向かって歩いていると、玄関前で独り言を言っている女性が…。

振り返ったその女性。

なるほど。確かに美人。
柔らかそうな身体のライン。
でもスタイル抜群。

部屋に入れてもらい、触れることは無いと伝えた。

彼女は、いつでも完璧な笑顔で微笑む人だった。
話し方も優しくゆっくり。
少し間を開けて話すのは癖なのかな？
でも、何かが引っかかる…

翌日、仕事に向かう時に、マンション下で彼女を見掛けた。
声を掛けようとして、出来なかった。
なんて無いはずの一連の動作が、悲しく見えたから。
昨日、何かに引っかかっていた事が分かった。
彼女は、完璧な笑顔だけど、悲しそうに泣きそうに笑うんだ…。

その事に気付いてしまってから、頭から離れない…。

とりあえず、今日も会いに行こう。
その笑顔の謎が知りたいと思った。

でも、彼女は認めないし、心を見せようとはしなかった。

貰ったカードキーを見つめ、ベランダへ。
好きでもないのに、夜景と夜空を見上げる彼女…
悲しそうに笑う彼女…
俺が知っているのはその2つだけ…
…もっと知りたい…