挨拶を交わす仲 ページ13
インターホンに出る。
「はい。」
何の用なんだろう…
「俺です。」
鍵を開け、中に招き入れる。
「どうぞ…」
私には拒否権はないから、彼が来る時は迎え入れるしかない。
「お邪魔します。」
丁寧にそう言って上がる彼。
ソファーに座って、私を見ると、
「こんばんは。」
私も、
「こんばんは。」
何故か挨拶を交わす私達。
でも、こんな風に挨拶を交わすってところが、私たちの距離とか関係性を如実に表している。
「お疲れ様。」
そう言った私に、嬉しそうに笑顔を向け、
「本当今日は疲れたー…。」
そう言って、ソファーに横になった。
「大変だったんだね？何か飲む？」
「うーん、じゃあお水。」
お酒じゃないんだ…
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
1口飲むと、コップを置き、
「今日は何してたの？」
いきなり、聞いてきた。
「えっ？…知りたいの？」
「うん、もちろん。」
そもそも、何しに来たかも、まだよく分からないのに、私の今日の行動を聞いて来たり…何なんだ？
興味もないのに、何で知りたいんだろ…
「出掛けてたでしょ？」
「えっ？」
「マンション出て行くところ見たよー」
「そう…。」
「どこ行ったの？」
「えっ？」
「…言えないような所？」
何なんだろ…この会話は…
「…もしかして、彼氏いるの？」
「いや、居ないけど…」
居たとしたら、こんな生活を引き受けるわけないじゃない…
そんな事が出来る女だって思われてるんだ。
そりゃそうか。
お金でこんな生活を引き受ける女なんだから…
何故だろう。
悲しくなって来た…
ただ、そんな女だと思われた事に対してなのか、あなたにそう思われたくなかったと思ってしまったからなのか…
「ごめんね…こんなこと聞いて。」
「ううん。笑」
ほら、また私は自分を隠すために笑えるの…
「もしかして、俺が来ること嫌だった？」
「ううん。ビックリしただけ。」
「何で？」
「だって、昨日も来てくれたし…」
「毎日はダメ？」
「ダメじゃないよ？ただ、私には何もしてあげられないから。疲れてるなら、その時間をゆっくり過ごす自分の時間に使って欲しいな。」
「うーん。そのつもりだったんだけど、どうしても気になって…」
ほら…そのつもりだったんでしょ？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
