マンション ページ6
「着いたようだね。」
社長さんがそう言って、窓から見上げたマンション。
恐ろしく高いマンション。
車の中から見上げたんじゃ、最上階は見えない。
「ここですか？」
「そうだよ。君も今日からここに住んでもらうよ？彼と同じフロアだから、誰も怪しまない。マスコミ対策もしっかりとしなきゃね。」
「えっ？ここに住むんですか？」
「そうだよ。明日にでも荷物を運びなさい。それと、これ部屋の鍵ね？はい。」
そう言って渡された2枚のカード。
カードキーなんだ。
ホテルみたい…
「それじゃあ。そろそろ彼も帰って来るだろう。君の部屋に行くように言ってるから、よろしくね。」
「分かりました。すみません、最後にもう1ついいですか？」
「なんだい？」
「私、今日でお店辞めてきたんです。仕事は、またしてもいいんですよね？」
「うーん。笑。君は欲ってないの？普通、こんな場合、生活も全て面倒見てくれるものだとは思わない？」
「えっ？そんなのダメですよ！！」
「アハハハ！そうか、そうか。益々、彼とは上手く行きそうだな君は。仕事かぁ…。まぁ考えてまた連絡するよ。」
「宜しくお願いします。」
「とりあえず、今日の初対面頑張って？」
「はい。では、送って頂きありがとうございました。」
社長さんと連絡先の交換を済ませ、車を降りた。
車が見えなくなるまで、頭を下げて見送る。
こういう所は、職業病だな…。笑
いざ、振り返りマンションを見上げた。
た、高い…。
成功者しか住めないんじゃないの？
こんな人様に話せないような仕事をする私が住むなんて、後ろめたさいっばいだよ…
それにしても高いマンションだな…
首が痛いよ…
何とかオートロックを解除し、エレベーターに乗り込んだ。
マンションの入口にも、エントランスにも警備員がいるだな。
さすが、成功者の住むマンションだ。
あっという間に、エレベーターは上がり、部屋があるのであろう階に降りた。
まさかの廊下も絨毯なんだな…
成功者は人様の足音も聞きたくないのか…
というか、この階には2部屋しかないんだ。
という事は、彼と私の部屋だけ。
さて、右？左？どっちだろ？
うーん…。左だな！
こういう感は鋭いんだよ私。
変な自信の元、左側の玄関に向かって歩く。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
