本心を隠して… ページ29
「はぁ…。本気で、取説が欲しい…。」
「アハハハ。大丈夫、ここに帰ってくるんだし。」
「本気で今度、後をつけようかな…。あと、新しい職場って言ってたけど…どこ？何してるの？」
「怖いからやめて…。職場？それも、その辺。笑。仕事内容は、そうだなー、仕分け？」
「もー！！！またその辺？何で教えてくれないの？」
「夜はここで会えるんだし！ね？」
いつか、事務所でバッタリなんてなるかもしれないけどね…
「何も話してくれないじゃん…。じゃあ、前の仕事は？それは教えて！辞めたから言っても関係ないじゃん！」
「えー、もう辞めたから関係なくない？」
「いや、教えて！」
「…分かった。接客業よ。」
「接客業？カフェとかそういう系？」
「ううん。」
「…夜？」
「うん、そう。」
「納得。だからか…」
「気付いてた？」
「気付いてはないけど、納得した。一々仕草がエ ロいもん。」
「5年間、銀座のクラブで働いてたの。」
「5年間も？」
「うん。」
「何でそこで働くことになったの？」
「うーん…。それは、話したくない…。ごめんね？」
言いたくない…。
「…そっか…。今は違う職種だよね？」
「うん。」
「良かった。」
「じゃあ、私も聞いていい？」
「うん。」
「彼女はいないの？」
これは、気になっていた。
そして、確認しなきゃいけない所だった。
もし、彼女が居るなら、その人と写真を撮られる訳にはいかない。
「…本気で言ってる？」
怒った顔で言われた。
「うん。聞いた事無かったから、聞いてみただけなんだけど…」
「俺の事バカにしてるの？さっき、Aが、好きって言ったよね？彼女いたら、告白なんてする訳ないじゃん！」
世の中には、あなたみたいに純粋な人は少ないんだよ？
5年間も夜の世界で生きてきた私は、色々な人を見てきたから…
「…そっか。ごめんね。」
「俺の愛がまだ分からないの？どうやったら、分かってくれる？」
「…分かったから。ごめんね。笑」
「…本気で好きだから。例え、出会いがこんな形でも、本気で好きになったんだ。」
「…ありがとう。笑」
微笑む。
胸が痛むけど、私は微笑むことしか出来ない…
本心を隠して、微笑んだ。
「ありがとうか…。」
ごめんね…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
