仕事 ページ21
タクシーで事務所に向かう。
行き先を告げ、タクシーの窓から流れる景色に目をやる。
サングラス越しに流れる景色は、色を失って見えた。
タクシーを降りると、数人の若い女の子が一斉に私の方を見る。
そうか…。
どうしよう…。
そう思っていたら、男性の方が近付いて来られた。
「Aさんですか？」
「はい。」
サングラスを取って、返事をする。
「こちらへどうぞ。」
そう言われ、後ろを着いていく。
ある部屋に通され、説明を受けた。
今日から私に与えられた仕事は、
ファンクラブ管理デスク業務
主に、ファンクラブサイトの更新や、ファンレターやプレゼントの仕分け、電話対応などの雑務。
「みんな、ちょっといいかな？」
男性が声を掛けると、集まってくれた。
「今日からここで働いてもらう事になったから。」
「〇〇Aです。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします」
男性社員がほとんど。
1人だけ、中年の女性がいらっしゃった。
「嬉しいわー。女は私ひとりだけだったから。これから、よろしくね？あっ、中村って言います。」
「よろしくお願いします。」
「私がここの責任者の斎藤です。よろしく。社長から話は聞いています。でも、しっかり仕事は仕事として頑張ってもらいますからね？中村さん、教育係お願いしてもいい？」
「はい。もちろんです！頑張りますのでよろしくお願いします。」
「はい。主任。女は私だけですもんね？」
「中村さん、よろしくお願いします。」
それから、大まかな仕事内容を教えてもらった。
始めのうちは、毎日届く郵便物の仕分けをとの事だった。
「簡単でしょ？あっ、この事務所の子達は詳しいの？」
「まだ初日で、何が何だか…。しかも、私、この事務所の方をあまり知らなくて…。とにかくグループ名、名前、顔を覚えなきゃいけませんね…」
「そうなの？それはそうね…。知らなきゃ仕分けしようにも大変だよね…」
「頑張ります。」
「うん。こんな事言うのもなんだけど、ここは事務所の中でも緩い部署だから、そんなに気負わなくても大丈夫よ？しかも、定時に上がれるって、最大の利点付きだから最高よ？」
「そうなんですね。でも、今日は頑張ってこの分だけでも終わらせます。」
「フフフ。頑張り屋さんねー。じゃあ、頑張って？何かあれば呼んでね？」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
