キミガシ…ヒエェン…【キミガシネ】 (ページ23)

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ー41ー微笑みの私。ページ23

ーホエミーsideー

フロアマスターに用意された狭い一人部屋へ入り、

ベッドに腰掛け一息着く。

先程のテストプレイで見た彼女の瞳が忘れられない。

参加者達だけでなく、

まさかフロアマスターまで殺すなんて。

それに、“みんなは楽に逝ける様に”。

皆殺しにした癖に、何故楽に死ねる様に言った？

憎いから全員を裏切る形にしたのではないのか？

考えれば考える程、彼女の事が分からなくなっていく。

元の性格が性格なだけに恐ろしい。

だが…

｢…その勢いのまま、全てを壊してくれませんかねぇ｣

ベッドの傍に置いてある写真立てを手に取る。

｢…愛する人を奪われた時の気持ちは、私も少なからず分かりますから｣

写真立ての中には、あの人と私がデートした時に

撮影した写真が挟まっている。

｢…狂ってしまうのも、無理もないでしょうに｣

埃を払う様に写真の中のあの人を撫でながら、

小さく呟いた。

私は企んでいる。今は従順の振りをしつつも、

いつか組織を壊してあの人を元に戻す事を。

そして挙げる予定だった結婚式を挙げるのだ。

でも、私だけではそれは不可能。

フロアマスターであっても、元はただの女。

ならば、それが可能そうな人を巻き込めばいい。

｢…ねぇ、リオさん…｣

ベッドに倒れ込み、写真立てを抱きしめる。

｢…そのまま、首輪どころか…デスゲームも、施設も組織も…｣

｢フロアマスター(私達)も｣

｢…全て、壊してくださいな｣

願いを込めながら目を閉じる。

脳裏に浮かんだのは、いつかのあの人の笑顔。

あの人は優しくて、誠実で、本当に素敵な人だった。

だからこそ、私は必ずあの人を元に戻してみせる。

彼を、心の底から愛しているから。

だからこそ、彼女の力を最大限に利用してやる。

例え、彼女が敵であろうと。

ただの未成年の女の子であろうとも。