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数日後
私と藍沢先生は、黒田先生の 横隔膜損傷のオペのサポートに入っていた。
黒田先生が胸腔鏡で右胸を確認する。
すると、あるはずの無いところに肝臓が見つかった。
黒田「石川、肝臓戻せるか」
「はい、戻せました」
藍沢「でもこれじゃあ縫えませんね。」
黒田「じゃあ、メインは腹の操作にしよう。胸にドレーン入れるぞ。」
“藍沢、石川。 どっちかがやれ。”
初めてまともに頼まれた外科的治療。
でも、私には自信が無かった。
もしここで、失敗してしまったら。
いつもネガティブに考えてしまうせいで、なかなか返事を出来ずにいた。
すると、藍沢先生が
「俺は結構です。石川にやらせて下さい」
と言う。
きっと──実力で指名されたいのだろう。
藍沢、お前がやってくれ。 と。
「わ、たし...?」
黒田「...何だ、出来ないのか?」
「そうじゃなくて...」
ただ怖いんだ。
怖くて、手が動かない。
昔から、人に付いていくタイプだった。
だからいつも誰かがしていたことを見ている係で。
積極性とか、ハングリー精神とか、
そういうのは、私には欠乏していると思っている
黒田「いいから、やれ。」
「っ.....はい。」
頭ではやればいいと分かっていても、手が動かない。
胸の前で構えた手は、震えている。
───今のままの私には、無理だ。
藍沢「俺がやる。代われ」
「ごめ...」
私をその場から退かせ、藍沢先生のドレーンを見つめる。
無駄な動きなんて、何一つなかった。
彼には、覚悟がある。
自分が救う、という覚悟が。
技術や知識は、確かに大事かもしれない。
でも、救命医をやっていく以上、
“覚悟”を持ち合わせていないと、意味がない。
そんなことを痛感した日曜日。
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あいか(プロフ) - 続きが少し気になるので、更新頑張ってください!!! (2017年9月6日 7時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - ひなたさん» こんばんは!大正解です\(^o^)/NEWS好きなのでこの曲にしました♪これからも宜しくお願いします! (2017年9月4日 22時) (レス) id: b808059075 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - こんばんは!こ、これは! UR notaloneじゃないですか!> <なんだか気分が嬉しい気持ちです!!お話も楽しませてもらっています!頑張ってください!! (2017年9月4日 21時) (レス) id: be1d3ffffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつ | 作成日時:2017年9月4日 20時