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白石「石川先生？」



白石先生に声をかけられ、ハッとする。


緋山先生に怒られて、藍沢先生にまできつく言われて。
彼にあんなに言われたのはフェロー以来だし、朝の彼とは別人のようで怖かった。

仕事とプライベートが違うということは、もちろん分かっている。
でも.....悔しくて。




「あー･･･大丈夫！藍沢先生にあんなに言われるのは馴れっ子だよ。フェローの時なんて“腰抜けは出てけ”だからね」

白石「...」

「ほら、最近よくバカにされるし？そのテンションだって、」

白石「...でも、」



“なんで、泣いているの？”






彼女の言葉を聞き、左頬に手を添えると
涙が流れていることに気づいた。
参ったな･･･





「ほんとごめん...」

白石「石川先生が謝ることじゃないって...お互い、頑張ろう？」

「う、ん...」





私は、とことん弱い人間だ。




*


藍沢side




藍沢「そうですか。では輸送に関しては、保健所の指示に従います」





電話を切り、血液サンプルを箱の中に慎重に入れる。





───石川先生だって、傷ついてるじゃない





白石の言葉が、頭の中でグルグルと回る。

こういう時、自分の鈍感さが本当に嫌だ。
傷ついた大切な人に追い打ちをかけるなんて。





箱を閉じようとすると、後ろから声をかけられる。




緋山「これも出しといて」




手渡されたのは、1本の血液サンプル。




藍沢「誰のサンプルだ？」

緋山「私の。...ラインとる時、針が指に刺さった。」




針刺しか...。
患者が何も持ってなければいいが。




藍沢「...分かった。」





緋山がその場を離れようとすると、ドアが外側から開かれる。




冴島「失礼します。今ICUで、今朝吐血した堀内さんが亡くなりました。
ジャーナリストで、西アフリカの各国を回っています。自然保護団体の取材をしていて、動物との接触もあったようです。」

緋山「エボラとか？」




無理に笑いながら、緋山はそう言った。

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