今日:4 hit、昨日:29 hit、合計:32,201 hit
小｜中｜大
01： ページ1
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
恩師に降り掛かった窮地を共に向き合い乗り越え
いくつもの命を救った
辛い時も苦しい時もいつも一緒で
友達なんかそんな安っぽい言葉では片付けられない程の
経験を、時間を共に過ごしてきた
「俺は脳外科に行く
お前も早くフェローを卒業して俺についてこい」
その約束は叶うことなく
私が歩んだ道は
『この御遺体傷だらけ‥』
「検死だけで良いんだ
余計なことはするなよ」
毎日運ばれてくるご遺体の数に合わない
解剖医の数
捌くためには早くしろ
事件性がないならそのまま返せ
毎日幾度となく繰り返された言葉に
歯向かう様に生きてきた
もし最愛の人が、
数時間前に「いってらっしゃい」「いってきます」
そんな会話を交わした相手が
傷だらけの姿で再会する事になるなんて
誰も思わないでしょ？
だけどこの世界では残酷なほどに
命と言うものは儚くて脆い
だからその人にとって
最後にかかる医者が私になるのなら
綺麗な姿にしてあげたい
上司からの痛い視線を交わしながら
仕事を終え、ロッカールームに向かう
出勤時ぶりにスマホを開けば
見慣れた文字
【橘先生：不在着信】
いつになったら私は生きた人間に向き合うことが出来るのだろうか
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アラレ | 作成日時：2022年9月2日 1時
