秋扇置く ページ9
いつの間にか日は暮れ、私は地面に座り込んだまま、さくらちゃんに電話していた。
《大丈夫だよ、叶ちゃん。》
《今から政府の人、来るから。ね?》
泣き続ける私を宥めるように、大丈夫とさくらちゃんは続けた。
真っ暗になった本丸に政府の人が到着したのは、一時間近く後の事だった。
保護された私は、ずっと泣き続けていたようだ。
________
「…様、扇様っ」
「っ!?」
急に声をかけられ、驚いていると、私を案内していたこんのすけは続けた。
「ここが貴女様の新しい本丸です」
真新しい木の匂いがする。
…懐かしい、気がする。
「貴女様には、初期刀を選んでいただきます」
目の前に並べられた、五振りの打刀。
私は迷わず、その内の一振りを手に取った。
「顕現せよ」
桜吹雪が舞う。
思わず目を瞑る。
再び目を開けると、そこには。
「あー、川の下の子です。加州清光。
扱いにくいけど、性能はいい感じってね」
懐かしい声。鮮やかな紅色の瞳。
間違いなく、彼だ。
「なーに座り込んでるのさ。」
いたずらっぽく彼は笑う。
「ほら、立ちなよ主。
服が汚れちゃうよ?」
神様は私の手を取って、引っ張り上げた。
そのまま彼の腕の中に飛び込む。
「ただいま。」
懐かしいぬくもりが私を包み込んだ。
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作者名:スヴィエトゥ | 作成日時:2019年11月23日 8時