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A

たしか中学2年の夏休みの日
私は×××に心を奪われた
夜中突然に私の家に来て
心を奪い

流れ星のように去っていった
そのあと×××は1度も私の元へ姿を表さなかった
夏の夜になるとあの時を思い出してしまう
去っていった背中に声をかけることも出来なかった

ただ、好きだと思った

もう一度だけ
×××の顔がみたい
声が聞きたい
既に奪われた私のハートをもう一度
奪って欲しい

そんなことを思いながらも
なかなか行動に写すことはしなく

もう、高校を卒業しそうだ



どうせもう、×××には会えないんだ


あんなに人を綺麗だと思ったのは
×××だけだ


あの時と似た雰囲気の夜
カーテンが揺らいだ

風邪が止むと窓には
白い髪の赤い目の男が足を抱え座っていた

びっくりして固まっていると
トンっと部屋の中に足を踏み入れた

そしてこちらまで近づいて来ると
私のあごをくいっと少し見上げさせる形にした
そして目を合わせると

ゆっくりと顔が近づいてきた


とっさに目をつぶると
白い髪の人の笑い声が聞こえた

白髪「あははっwwキス……されると思った?」

そういたずらに笑った
その顔がとても綺麗で思わず見とれてしまった

この感覚は少し懐かしい
×××の時と似てる
でも、やっぱり×××ではない

白髪の人は私に
一輪の赤いキクを渡してきた
そしてこう言った

白髪「この赤いキクの意味……愛しています 一輪の意味……」

白/貴『一目惚れ』

私が揃えて言うと白髪の人は
少し驚いてから
優しい表情に戻り

白髪「よく、知ってるね」

と言った
わたしはその言葉に
ええ
といい
そっぽを向いた

なんだか×××に似ていて
嫌だった

白髪「ねぇ、返事は?ないの?」

そう言って私の顔をのぞき込んだ
私はその顔がすごく整っていて
すこし、ドキッとした

この人の赤い目は吸い込まれそうな
綺麗な赤い目だ
髪と同じように白い肌
それに逆らうような赤色をした目

白髪「何も言わないのかー……」

と少し残念そうな顔をした

白髪「また、来るね?」

とそう言って窓から飛び降りた
私の部屋は5階だ
びっくりして
下を見ると

白髪の人がすでに立っていた
そして後ろを向くと
歩きながら手を振ってきた
ふわふわと手を振ってくるその姿に
とっさに×××のことを思い出し声が出た

貴「私、まだ貴方の名前を聞いてません……」

白髪の人の口元を見ると名前を言いそうだったので
塞ぐように被せるように

貴「なので!……また、来てくださいかならず!」

そう言うと
少し嬉しそうに笑った

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作者名:黒瀬@からあげクン | 作成日時:2018年7月23日 0時

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