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藍沢side

冴島「諦めるなんて･･･許さないから！」

────たとえ、どんなに強い人でも
大切な人が窮地に陥っていれば、その人は正気ではなくなる。

先に治療をしていた横峯と交代し、
冴島とふたりで藤川の治療を再開した。

藤川「藍沢･･･お前はほんと･･･かっこいいなぁ･･･。
俺もそんなんだったら･･･はるかのこと･･･石川くらい幸せに出来たのかなぁ･･･。」

藍沢「･･･何を言っている。」

そのまま進めていると、藤川があっと思い出したように言葉を発した

藤川「小さい男の子、いなかったか？」

冴島「かけるくんでしょ？無事よ。お母さんとも連絡ついた。
千を2回、ちゃんと数えたって言ってた。なんのこと？」

藤川「あぁ･･･そうか、偉いなぁ。」

冴島との会話を、エコーをとりながら聞く。

藤川「最初に診た、田崎さんは？」

藍沢「もう搬送された。お前が止血したお陰だ。
･･･炭酸水素ナトリウムくれ。それと一号輸液」

冴島と場所を交代し、輸液の準備を待っている間。

藤川の、いつもよりもゆっくりな口調で発せられる言葉をひとつひとつ聞き取る。

藤川「そうかぁ･･･2人とも無事か。良かった。」

藍沢「あぁ。良かった。」

自分が危険な状態だということは、当然分かりきっているだろう。
にも関わらず、自分よりもまず患者のことを考え、「良かった」と心から思って。
俺に“かっこいい”と言った藤川。
そんなコイツも、かっこいいと俺は思う。

藤川「なぁ？俺、どうなってる？さっきから、左足の感覚が弱い。」

藤川の脚の上には、大きな瓦礫。

隣には、泣き出しそうな冴島。

それを見て、藤川は冴島を安心させるように、言葉を紡ぐ。

藤川「ごめん･･･大丈夫大丈夫。なんたって藍沢が診てくれてるんだからな。しかも？敏腕ナースも一緒だ。」

冴島「･･･そうね。」

何としてでも、藤川を

─────こいつらを、助けたい。