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〈天井を支える岩盤の上に、地下水が溜まっていて、それが崩落の原因のようです。〉

レスキューから説明を聞いて、頭の中で状況を整理する。

「負傷者の数は？」

〈辻ヶ谷駅側の、崩落の規模がわかっていません。
この付近は電源ケーブルが切断されていて、照明も落ちてます。〉

レスキューの説明を聞くと、どうやらさっきの崩落で水が落ちきったらしく、これ以上の災害は無さそう、とのこと。

「横峯さん、冴島さん。辻ヶ谷駅で待機して。」

ほかの病院の先生にも指示を出し振り向くと、
ホワイトボードを見つめる冴島さんの姿があった。

「冴島さん･･･いける？」

冴島「･･･いけます。」

「･･･大丈夫。藤川先生はきっと大丈夫だから。」

医者が軽はずみに“大丈夫”なんて言ってはいけない。

それでも･･･いまの彼女には、これ以外にかける言葉がないのだ。

こくりと頷き、横峯さんの方へと走っていく。

本当に、彼女は強い人間だと感じた。

ホワイトボードに目を移すと、藤川先生の名前の下に引かれた赤い線が目に入る。

どうか、無事であってと願うことしかできない自分がもどかしかった。