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藍沢side
ヘリの見える、俺たちが毎日走る道。
“Emergency”と書かれたその青い世界を見つめながら、2人で話をした。
「・・・こんな所で申し訳ないんだけど、この前のこと・・・ちゃんと話そうと思って。
私ね、耕作のお荷物にはなりたくないの。
本当は、トロントにだって行って欲しくない。
私のそばにいて欲しい。
だから、結婚しようって言ってくれた時、本当に嬉しかった。」
藍沢「トロントに行って欲しくないというお前の気持ちは分かっていた。
だからこそ、申し訳ないと思っている。
・・・でも、俺は医者だ。」
「そう、貴方は医者。
だからね、もうトロントのことは何も言わない。
医者としての耕作が、大好きなの。
そんな耕作のこと、そばで・・・って訳にはいかないけど、どんな形でも貴方を支えていたい。
だから・・・・・・私と結婚してください。」
驚いた。
あの夜話した時、彼女は驚いたような困ったような。
そんな表情をしていた。
──きっとフラれるんだな、とも思った。
Aを見つめると、“なんか言ってよ・・・”と呟いて。
その腕を引き、思い切り抱きしめる。
消えかけたその首元の跡を撫で、耳元で囁いた。
藍沢「A・・・愛してる。」
「ここでそれは反則だって・・・」
体を離して、“お前は?”と問うと、
顔を赤らめ小さく口を開いた。
「わたしも・・・・・・愛してるよ。」
そう言った彼女の口を自らの口で塞いだ。
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作者名:なつ | 作成日時:2017年9月18日 22時