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耕作を探していると、雪村さんに遭遇する。
そのまま階段をのぼると、思いつめた表情で携帯をみる横峯さんがいた。

雪村「･･･勤務時間中はスマホ見ない」

「雪村さんっ」

雪村さんは横峯さんのスマホを取り上げる。
そして、横峯さんの隣に腰を下ろした。

横峯「もう少し早く開胸してたら･･･佐藤さんは甥っ子さんに会えてたかもしれない。」

佐藤さん、とは彼女たちが担当した患者さんのこと。
命は救えなかった。

横峯「でも怖くって･･･早く駅のホームまで運ぼうって･･･そうすれば、誰かほかの医者が助けてくれるって。」

彼女がそう言うと、後ろから低い声が聞こえてきた。

藍沢「相変わらずの思い上がりだ。
佐藤さんは元々、上行大動脈に瘤を指摘されていたそうだ。
そこに今回の事故が重なった。早い段階で開胸したとしても、助かることは無い。
自分のせいで死んだなんて･･･思い上がりもいいところだ。
医者は所詮、助かる命しか救えない。
手の施しようのない患者を･･･神のように救うことなんてできない。
救える命を確実に救う。そのために日々学んでいる。

･･･それは俺も同じだ。」

いくらその医者の腕が優れていたとしても、神にはなれない。

だから、私たちは挑戦する。
１歩でも、１ミリでも─────神に近づけるように。

“Challenge to god”
───彼がかつて腕に付けていたその言葉は、そういう意味なのではないだろうか。

「耕作っ･･･待って！」

その背中を、追いかけて。