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白石「石川先生、ちょっといいかな」

廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
振り向くとそこには私たちのリーダーの姿。

「ん？どうしたの？」

白石「最近･･･何かあったのかな、って。」

「･･･そんなことないよ」

うそ。

ほんとうは、なにかあった。

ただ、こんな話できないだけ。

*

2日前

藍沢「朝言った、話したい事なんだけど」

「うん？」

藍沢「トロントに･･･行こうと思う。」

何となく察しはついていた。

彼の気持ちは、もう海の向こうに向いていること。

「そ、っか･･････そうだよね。功績が認められたんだもん、」

藍沢「すまない」

「なんで？耕作が謝ることじゃないって･･･。私は応援するよ？」

行かないで、とどれだけ思ったか。
その気持ちも、きっと彼には見透かされていて。

それでも行きたいと言った彼は、本物の医者だと思う。

「また、離れ離れだね･･･」

藍沢「･･･」

「私、平気だよ？毎日バリバリ仕事して、お互い写真送りあって･･･」

藍沢「･･･A」

「あれ、もしかしてまた別れちゃう･･･？」

藍沢「A！！」

彼に名前を呼ばれ、我に返る。
またひとりで先走って、ひとりで勝手に悲しんだ。

「行って欲しくない･･･とも思っちゃう」

藍沢「･･･分かってる」

「･･･ひとりに、しないで。」

そう言ってソファを立とうと思ったとき
彼は私の腕を引き、再び隣へと連れ戻される。

肩を掴まれて、お互いに見つめあって。

1秒が、とっても長く感じた。

胸の鼓動が、彼に聞こえてしまいそうで。

藍沢「･･････A」

───────俺と、結婚してくれませんか。

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