あの人たちの忘れ形見 (ページ16)

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遠い記憶。13 ページ16

この家から裏山の池まではそこまでかからなかったと思う。

私は淑子さんとその池に向かった。

結論から言うと、その池には行けたものの池は池。何も無かった。妖怪の気配も鬼道衆の気配も。そもそもの話、集落の後さえなかった。

淑子「すみません…。よろしければ私の祖父の神社に行ってみませんか？何かわかるかもしれません。」

A「大丈夫だよ。私もそれがいいと思う」(何かわかるかもしれないし)

神主をしている淑子さんの祖父やその神社にある文献に興味がある。鬼道衆なんて言葉、そうそう聞くものでは無い。特に昭和の時代になってからは。
だから、文献に鬼道衆という言葉が載っているということは、本当にその地に鬼道衆がいたということを示していることが多い。

そもそも文献というのは、いつ書かれたかにも拠るがあやふやなものが多いし、歴史書でも後から書き換えられていたりする。妖怪関連は尚更で、諸説ありまくりだ。鬼道衆は、、知る人ぞ知ると言うやつで文献に載るのは珍しいのだ。

陰陽師などは良く文献で見るが、鬼道衆は文献では殆ど残っていない。まるで姿を隠しているようだ。

神社は、淑子さんの家と池のちょうど中間にあった。

参道に入った瞬間、何か引っかかる空気。
参道が終わり境内に入った時、その引っ掛かりは明らかな違和感になった。

結界か？

淑子「どうしたんですか？」

A「いや、なんでもないよ。おじいさんは？」

淑子「この奥です。」

淑子さんに案内されて境内の参道から逸れた奥の建物に入る。
本殿はその目の前にあったが、この時間は必ずこの建物にいるそうで、ズンズン中に入っていく。

淑子「この部屋にいます」

A「ありがとう」

案内されて入った部屋は薄暗く、埃臭い。そして人の気配の代わりに強い力の気配がした。

A「どういうことかな？淑子さん」

彼女は12歳の姿から壮年の男性へと姿を変えていた。