あの人たちの忘れ形見 (ページ12)

今日:12 hit、昨日:21 hit、合計:13,210 hit

遠い記憶。10 ページ12

義兄side

その日はいつも道理、家で家事をして妻の帰りを待っていた。

妻は8時頃に家を出て仕事に行った。

時計は6時を指している、妻の会社はここからだいたい1時間かかる処にあるから。

そろそろ帰ってくるはずじゃ。

晩御飯を作りながらいつも道理、妻の帰りを待っていた。
丁度いい時間に作り終え、いつもなら帰ってくる時間になった。

妻の帰ってくる気配は無い。
家の近くまで来れば気配でわかるが、近くにもいない。

寄り道でもしているのか。土産でも買ってくれているのだろうか。

妻の帰りが遅い日はだいたいお土産がある。
そうでない時は、近所の人とお喋りしている時。

8時頃、さすがに遅い。井戸端会議て2時間は無い。
夕飯も既に冷めてさすがに心配になるが、彼女は自分と同じ幽霊族、その辺の妖怪に簡単に負け去ることは無い。

ここらには温厚な妖しか居らんしのう。

10時になった。気が気でない。
さすがに家の前まで出てみたり、妻が仕事帰りに行きそうな場所、通る道、あの場所、その場所、、石の下、川の中、そこら辺にいる妖怪に聞き込み、手当り次第に探した。
もちろん妻センサーを最上限上げて探したが、妻の姿はなく気配すら無い。

だんだん、自分のかなに言いようのない不安が押寄せる。

ドッドッドッドドッド、、、

耳の奥で心臓の音が鳴る。
息がしずらい。視界が狭まる。目眩、腹痛、、。

喉が締められるような感覚さえ覚える

今すぐ叫び出したい気持ちで、初めての、、これは、

恐怖だ。妻を無くす恐怖。愛する者がいなくなる恐怖

その恐怖の最中、頭にある約束が思い出された。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

A「どんな状況だろうと姉さんを傷つけたら殺す」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そうだ、義妹、Aちゃん。

彼女は無事だろうか。