中堂さんの妹。【3年A組】lll

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「はぁ〜今日も疲れたぁー！！」



「夕子さん、かりん糖どうぞ」




「Aありがと〜！」




デスクの椅子に座り背伸びをしながら夕子さんはかりん糖を頬張り出す。





「あれ？中堂さんは？」




「系さんならさっき解剖したご遺体の薬毒物検査に行ってる。

あれはただの不自然死じゃないって」



兄とはいえ、立派な法医学の先輩に当たる為、ここではお兄ちゃんとは呼ばず系さんだ。

初めは少し歯痒い気もしたがもう慣れた。





「にしても、ほんっと休みない！！


所長ー、休みくださいよ〜



南の島行きたい」




「無理ですねぇ〜毎日ご遺体来ますから」




「休みいいぃ」





「あ、そう言えばAさんがお休みするのは明日だったっけ？」



「あ、はい。ご迷惑お掛けしますがよろしくお願いします」



「Aちゃん明日休むの？」



「はい、六郎さん忙しくなるかもなんでよろしくお願いします」



「えー、A明日休みなの？なんで？」




「担任から卒業に関しての重要なことがあるから学校に来て欲しいと連絡がありました」




「そっかー、あと10日位で高校卒業かぁ


春から晴れて医大生！六郎より早く法医学者なりそう」




「ちょっと東海林さん？

さりげなくディスるのやめてください。


Aちゃんが優秀なのは知ってますけど」





いつもと変わらない夕子さんと六郎さんのやり取り





「A、ちょっと来い」



「はい！」





系さんに呼ばれていけば先程のご遺体の薬毒物検査の結果。




「これ……」




「ああ、毒 殺だ。


警察の簡易検査じゃあ分からなかった」





「つまりは他 殺」




解剖されなければ分からなかった真実。




あのご遺体の方も不条理に死 んだんだ。






「死因が分かった

すぐに犯人は捕まるだろうな」





「いや、まさか今回のご遺体も他 殺だったとは」


話を聞いていた神倉さんはコーヒーを啜りながら言う。




「本当に解剖率が低いことは大きな問題ですね」




ミコトさんの言葉に全員が納得する。



「ほんっとに法医学は未来の為なのにね！

だからAと久部君も早くいい法医学者になってよ〜」





「勿論です」






静かに、けど力強く言い切った私にミコトさんは微笑む。




毎日毎日ここにいれば自分の進む先が見えてくる。









そんな、"人質"になる前日までの私の日々。









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