中堂さんの妹。【3年A組】lll

episode83 ページ18

「ちょ、里見！」



私の腕をひいたままズカズカと廊下を歩く里見。





「里見！」



「ごめん、ごめん。少し話したいことがあったから強引に連れ出した」




「別にいいけど…

話したいことって何？」






「"里見が罪を償わなければならないって言う言い分は理解出来る。里見が澪奈にしたことは許されないことだから。


でも、ここで死 ぬことは許さない"」




「えっ？」





「お前が俺に言った言葉だろ？」




「あ、うん」




「俺さ、すげぇ嬉しかった」




「はい？」




「俺が景山にしたことは宇佐美と同じで許されないことで、あの時は死 ぬことでしか償えないって思ってた。

でも中堂のおかげでちゃんと生きて、景山の分までしっかり生きなきゃって思えた。


中堂を見てそう思えた」




「なんだそれ」




「だから、俺も中堂を救えるようになりたいんだよ。

頼って欲しい」







「……もう充分皆に救われてるって。


だから里見も、自分のした事を背負って、澪奈の死 の真相暴いて、前向きに生きなきゃね」




「……おう」





「じゃ、戻ろっか。皆待ってるかもだし、
特に里見は」





女子に人気だし私睨まれるわ。




美術室へ戻ろうと思い一歩踏み出した。







「A」






「えっ、」




「Aって呼ばせてくれないか？」




「別にいいけど、なんで「海斗」えっ？」






「海斗って呼んで」






「あ、うん…

じゃあ海斗で」






「うん、満足」







そう言ってその場を里見、いや、海斗は去って行く。





いや、何が満足なんだ。









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