中堂さんの妹。【3年A組】lll

episode77 ページ12

「私の兄の恋人、夕稀子さんは高瀬に殺 された。」



私の放った言葉に甲斐以外、驚愕の表情に変わる。







「それが私が不条理な死を許さなくなったきっかけになるんだろうね

夕稀子さんが殺されて兄は殺人者扱い。

でも何より許せなかったのは夕稀子さんを殺したやつがのうのうと生きてることだった

私はあの日以来誰かに頼ることをしなくなった。

誰にも私の身の上話をしなかった。



赤の他人に心配されたり可哀想だって思われたくなかったから。


でも、たまたま甲斐に宍戸と会ってるとこを見られてそのまま全てを話した。

甲斐は私の話を聞いてからでも誰かに話したり詮索するような真似はしなかった。だから信頼出来たし、有難かった」





呟くように言った後教室を包んだのは沈黙。

甲斐も難しそうな表情で目を伏せている。






「……何それ。何なのそれ！」



「香帆？」





沈黙を破ったのは香帆だった。





「なんで今まで言ってくれなかったの？」




「……言ったってしょうがないことでしょ？」




「Aはずるいよ。
いつだって皆のこと守って、自分を犠牲にして。

なのに自分のことは何一つ言わない、

私達はそんなに信頼ないの？」









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