中堂さんの妹。【3年A組】lll

episode96 ページ31

「ずるいよ……


なんで今更…」




その目からは涙が溢れていた。


「そんなの無いよ……」





「水越、今の話を聞いても坪井先生を疑うのか？」



「知らなかった！

私の体のことも！


先生が苦しんでいたことも何も知らなかった！」




「なのにお前は逆恨みしてこんな動画を撮った」





先生の言葉に水越の顔は真っ青になる。



「どうしよう……

そんな動画、どうしたらいいの？」




「この動画は流れてない」



「えっ？」




「結城が投稿する前に止めてもらったんだ」






・






「運んだ荷物の中から上手いこと携帯だけ取り出した？」



トイレの手洗い場にいる結城に声をかける。



「中堂さん！なんでっ、」




「先生から伝言。


すぐに携帯を私に渡せって」





天井に設置してあるカメラを指さしていえば結城は黙って携帯を渡してきた。







・








「って具合で動画投稿の前に中堂が結城を止めたんだ。」





私は先生にパシられただけなんだけど。







「良かった……」




先生の言葉を聞いて水越はへなへなと床に座り込み、皆も安堵の息をつく。






「何がよかったんだ？


おい！何がよかったんだよ!?」






唐突な先生の大声と気迫に水越は怯えた表情になる。





「お前がこの動画をネットに流そうとしたことに違いはない。

違うか？」





「っ、でも！」




「"でも"じゃないんだよ！



この動画が世間に流れたら坪井先生がどんな目に遭っていたか考えたのか？


なぁ!?」





水越の肩を押しドアにぶつける。


水越は恐怖で完全に固まっている。








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