優しい記憶2 (ページ7)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:62,538 hit

57.Oside ページ7

･

大きい日付が流れて、嵐は結局、長期休暇になった。

ニノは相変わらず、辞めることを取り下げることはなかったし、おいらも松潤も1度も翔くんに会いに行ってない。

相葉くんは昨日、大泣きしながら電話を掛けてきた。

"このまま嵐は本当に終わっちゃうの…？"

って感じの内容だった。

純粋無垢な彼には悪いけど、おいらにそんなこと考える余裕なんてなかった…。

おいらの中での葛藤と気持ちの整理でいっぱいいっぱいなんだ。

プルルルル…プルルルル…

また相葉くんかな…？

いや、違った。

智「はい、もしもし。」
看「もしもし、大野さんの番号で間違いないですか？」
智「はい。」
看「こちら山風病院です。櫻井さんが嵐のみんなに会いたいとさっき仰っていました。会いに来てあげてください…！！」

そんなこと…本当にあるの？

治療法もない病気なのに、突然記憶を取り戻すなんてこと…有り得るの？

智「みんな…行きましたか？」
看「すぐに行くと仰っていました。」
智「分かりました、急いで向かいます。」

おいらはそこで現実だってことがわかった。

大慌てで準備をして、外に飛び出た。

タクシーを捕まえて山風病院まで向かう。

遅いわけではないのに、速くしてほしいと思ってイライラしてしまう。

運転手「着きました。」
智「お釣りは結構です！」

ほとんど投げつけるようにお代を払い、走って病院の入口に入った。

智「櫻井翔の病室はどこですか？！」
看「重病患者棟の5番です。」
智「分かりました!ありがとうございます！」

あまり入り慣れない別棟の廊下は雰囲気がすごく暗かった。

智「5番…あった！」

コンコン…

少しの期待とたくさんの緊張と不安が入り混じって、ドアを開けるのを躊躇う。

でも

「はーーい！！」

君の元気な声が背中を押してくれたよ？

智「翔くん…！」
翔「智くん！おはよう！」
智「翔くん…、翔くん…おは、よう…。」

翔くんがもうどこへも逃げないように、ギュッと抱きしめて何度も名前を呼んだ。

懐かしい感覚に触れられて、翔くんのパジャマに透明のシミを作る。

翔「智くん…ごめんね？」
智「ううん。翔くん思い出してくれて良かったよ…。本当に…良かった。」
翔「智くん、ありがとう。」
智「うん！」

やっとおいら達の未来に光が差した気がした。