優しい記憶2 (ページ6)

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56.Sside ページ6

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分からない…

俺は誰だ…？

「朝ご飯持ってきました。食べてください。」

知らない人によく分からないモノを渡される。

毎日毎日…。

あ…今さっき朝って言ったな。

また朝が来たんだ。

一体いつになったら、終わりがくるの？

翔「はぁッ…」

俺の見える範囲にある俺と同じ顔の人と、誰か知らない人の写真。

毎日見ても変わらない。

何も感じない。

日付が並んだカレンダーは俺がこの部屋に来てからの日数を表していた。

ここに来てもう3週間が経った。

何も変わらない毎日。

何のために俺は居るんだろう…。

ヒタ…ヒタ…ヒタ…

久しぶりにベッドの上から降りて自分の足で歩いてみた。

冷たい床が肌を刺激した。

翔「あ…あった。」

俺が探してた唯一の宝物。

どこか遠くに行った時に、誰かとお揃いでプレゼントしてもらった砂時計。

俺のは赤い砂が中に入ってる。

"翔ちゃんは休日でも忙しいから、ゆったりした時間をプレゼントしてあげる！"

確か…プレゼントを交換しあったんだっけ…。

"翔ちゃんはいつでも過密スケジュールだからね(笑)休みぐらい家でゆっくりしてればいいのに…(笑)"

誰だったかな…。

"絶対翔くんを友人として持ちたくないな(笑)それ疲れちゃうもん(笑)"

ああ…懐かしいな…。

"そうかな？(笑)おいらはそんな翔くんが好きだけどね(笑)"

優しくて、温かい時間…。

俺のほとんどない記憶の中に紛れたそんな
"優しい記憶"

作ってくれたのは誰だったかな…？

カタンッ…

翔「あ…。」

砂時計を逆さまにして砂を落とすと、さっきまで下になっていた木の部分に文字が彫られていた。

『嵐』

翔「あら…し、。嵐…あ…らし、」

懐かしいその響きに俺の目から溢れたものがあった…。

翔「嵐…みんなに…会いたいよ。」

足に力が入らなくて座り込んだ。

「櫻井さん？どうされましたか？」
翔「みんなに…嵐のみんなに…会いたい。」
「すぐ呼びますね！！」

今まで固まっていた動かない時間が、俺の中でゆっくりと溶けて動き始めた気がした…。

智くん、相葉くん、ニノ、松潤…。

会いたいよ。