優しい記憶2 (ページ5)

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55.Oside ページ5

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プルルルル…プルルルル…

予想していたよりも早く着信音が鳴った。

落ち着いて声が出せるように、意識して深呼吸をする。

智「…もしもし？」
和「もしもし。」

いつもより小さめなニノの声が返ってきた。

和「相葉くんが変なこと言うからさ、確認したんだよ。リーダー来ない気がするとか言うから。………本当に来ないつもりなんですね。」

電話越しでも分かった。

ニノは明らかに怒ってる。

智「マネージャーから聞いたの？」
和「はい。翔ちゃん所にマネージャーを行かせようとしたって…。そんなに大野さんって情けない人でしたか？」

ニノは今までに聞いたことのない低い声で静かに責めてきた。

和「今の大野さんは俺の知ってる大野さんじゃありません。」
智「今のニノもおいらの知ってるニノじゃないよ！！松潤から聞いたよ。ニノ嵐辞めるつもりなんでしょ？そんな奴に翔くんとこ行かなかったこと責められたく……ないよ。」

言ってしまって後悔した。

智「あ、いや。ちょっと言いすぎた。」

すぐに訂正したってもう遅いことは、電話の向こうから聞こえるニノの鼻をすする音で分かった。

和「俺、もう耐えられなくて…。俺の言う事は嫌かも知れませんけど、翔ちゃんには会ってあげてください。いつでもいいです。1度だけ会ってあげてください。」

それだけ言って電話が切れた。

ニノが役以外で泣いてるのは初めてだ。

不思議なもんで、1人いなくなるとまた1人いなくなるんだ…。

それぐらい繋がっていたものが強かったのかもしれない…。

智「しょ…くん、会って…くれる、？」

後悔と罪悪感と責任感で涙が溢れた。

今更…会って何がしてあげられるのかな…？

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おいらは結局…病院から連絡が来るまで、1度も自分から翔くんへ会いに行くことはなかった。