優しい記憶2 (ページ3)

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53.Mside ページ3

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ス「撮影は以上で終了となります！お疲れ様でした！！」
潤「お疲れ様でした〜！」

1人1人に頭を下げてお礼を言いながら、楽屋に向かう。

今日は、撮影が押してしまった。

だからと言って、翔くんに会えるわけではないけれど…。

マ「潤くん、着信音がさっきから何回も鳴ってるよ。」
潤「え、まじで？ありがとう。」

楽屋に入り、一直線に携帯を手に取る。

…ニノからだった。

潤「もしもし？」
和「もしもし、潤くん？」
潤「…どうしたの？」

ニノは鼻声で少し声が震えていた。

多分、泣いてる。

和「グループLINE見てないよね。」
潤「うん。」
和「じゃあ、もう結果から言うね。翔ちゃんは俺達のことも覚えてないよ。」
潤「え…。」

何があったのか…それも聞かされないまま突然結果だけ教えられても、納得できるわけない。

ただのイタズラなのか？

和「家族のことも、嵐のことも、全部忘れちゃったんだ…。さっきね？相葉くんも来たんだけど、知らない人に囲まれて何されるか分からない恐怖のせいで、暴力的になっちゃうんだって…。今、厳重な病室にいるから、部屋から出て、最悪の事態になることは防げるだろうって…。」

それを聞かされて…俺はどうしたらいいの…？

悲しんでおけばいい？

悲しむなんて忘れるくらい、俺は悲しいのに…？

なんでこうなっちゃったんだよ…。

もっと早く病院に連れて行って、今の結果が分かってれば何か変われた？

俺達が強引にでも記憶のあるうちから、悩みを聞いてれば何か変われた？

早めに仕事を休ませておけば何か変われた？

…でもこれが結果なんだ。

俺達はなんて弱いんだ…。

翔くんを心配してた割に、強い行動に出なかった。

中途半端に行動して、逆に翔くんを不安にさせて、結局守りきれなかった。

和「…潤くん、聞こえてるなら独り言だと思って聞いて？俺、嵐辞める。こんなの嵐じゃないもん。俺達は翔ちゃんも守れなかった。嵐も守れなかった。俺ら何も気付けなかった。翔ちゃんの悩みすら、今は何だったのか知らない。こんなんで、今後やっていける気がしない。」

わかってるよ…十分わかってるよ。

言われなくても。

潤「わかってる…もう嵐は終わりだ。」

それだけ言って、電話を切った。

俺は…病院には行かず、予定通り帰ることにした。