秘密 2 《O.S》 (ページ10)

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階段を上がった先の右手に一部屋、左手に一部屋、そして少し廊下を進んだ先に一部屋。

凛子さんが左手の部屋を指して言った。

凛子「こっちが私の部屋でそっちが智の部屋」

反対側の右手の部屋を指して言った。

凛子さんがガラッと部屋をあけた。

凛子「最近来てなかったからちょっと汚いかもしれないけど」

A・紗那「失礼します、」

６畳くらいの小さな部屋の奥には卒業式の写真らしきものが飾られた勉強机が置いてあり、その隣には小さいベッド。

茶色の本棚には2、3年前に流行った小説や小さい頃に読んだ絵本が置いてあって、本棚の上には卒業式に付けるコサージュや卒業証書がかざってある。

まるで卒業式から時が止まったような。

左手に目をやると赤いカバーのかかった茶色のアップライトピアノ。

そういえば、大野先輩がお姉さんがピアノをやっていたと言っていたのを思い出した。

凛子「私が昔着ていた水着が残ってるはずなの…あ、これこれ！」

紗那「かわいいっ！ねぇ見て、A？可愛いよっ！？」

凛子さんの隣にしゃがみこんだ紗那が私の方を向いて手招きをした。

私は立ったまま凛子さんの手元を覗き込んだ。

「えっ、うわ、ほんとだ、可愛いっ！」

紗那「凛子さんは高校生までここに住んでたんですか？」

凛子「そうよ」

それなら大野先輩は引っ越してきたことになる。

おかしい。

「…っじゃあ、大野先輩は？」

凛子「智はお父さんと一緒に住んでるから別なの。私はおじいちゃんおばあちゃんと。おばあちゃんは癌で亡くなっちゃったんだけど。
まあ、智とは時々会ってたんだけどね？あ、だから隣の智の部屋は要らなくなったマンガとかゲームとか、ずいぶん昔の絵とかの物置になってるような感じなの」

「じゃあ…お母さんは…？」

今まで淡々と台本を読むように話していた凛子さんの口がぴたっと止まった。