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「大野先輩！」
智「何やってんの、じーちゃん」
大野先輩は私とおじいちゃんの間にしゃがみこんで破片を拾い始めた。
爺「いやあ、ちょっと手を滑らせただけだよ」
智「あぶねーよ。だからもうやめろっつってんじゃん」
爺「いやいや、まだまだ元気だよ？
お前さんらや守のためにも働かなきゃならんよ」
「守？」
智「とーちゃんの名前」
そういう先輩は顔色ひとつ変えずに。
智「もう俺も卒業するんだし俺が働くよ、とーちゃんとじーちゃんの分まで」
私にはふたりの顔を交互に見ることしかできなくて。
おじいちゃんは今の言葉が聞こえなかったかのように持ってたごみ袋の口を縛って。
先輩に優しい笑顔を向けて。
爺「ありがとう」
と一言こぼして裏口に歩いていった。
その小さい猫背の背中から目が離せなくて。
智「ちょっと付き合ってくんね？」
「え？」
突然の先輩の声に驚いて。
私が先輩の方に首を向けたと同時に先輩がスっと立ち上がって
私も腕を掴まれて先輩の勢いに飲まれて立ち上がった。
そのまま掴まれた腕を引っ張られてものすごい早足で歩き始めた。
軽く引きずられるような勢いで。
どこ行くんですかって普通の声で言っても聞こえないみたいで大声で言い直す。
「…どこに行くんですか！！」
振り返られた私が後に倒れそうになるくらいすごい勢いで振り返って。
私のことをじっと見つめて「それ」って顎で私の服を指しながら。
智「どーせ脱ぎたくねぇんだろ？」
「……そうですけど」
智「うっし、釣りしよう、釣り！」
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作者名：花 | 作成日時：2018年2月22日 18時
