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真緒がキラキラした笑顔を向けながらこっちへ向かって走ってきた。
真緒「待ってたんだよ〜！2人ともおいで！？
ほら、Aもパーカー脱いでさ！青春しちゃお！」
「私はちょっとこっちで休んでる」
真緒「なんでよ！脱ぎたくないから？」
「それもあるけど、」
真緒「けど、？」
眉をぐっと寄せて私の方を見ながら首を傾けた。
「今まで夏にこんなに遊んだことないからちょっと日差しに弱いの」
真緒「え、そうなの？聞いてないよ〜」
紗那「それは残念だね」
真緒の後ろからは男達の騒ぎ声が聞こえる。
私はこの声が聞けてみんなが楽しんでるのを見てるだけで充分。
「行ってきていいよ、遠慮なく」
ガチャン！
2人に心配をかけさせないように笑顔を向けたその時。
海の家の中から何かが割れるような大きな音がした。
「私ちょっと中見てくる」
真緒「うん、ありがとう」
紗那「ありがとう、いつでもこっちに遊びに来なよ？」
「分かってる、ありがとう」
心配げな2人を背中に向けて
お客さんのいない静かな海の家を覗いた。
店のカウンターの奥で割れ物を片付ける音が聞こえる。
奥を覗くと小さい背中が割れたお皿を片付けているのが見えた。
「あのぅ、大丈夫ですか？」
その声に驚いてハッと後ろを振り返った。
爺「ああ、Aちゃんか。大丈夫大丈夫。ちょっと手を滑らしてしまってね」
店のさらに奥まで飛んだお皿の破片をおじいちゃんの横を通り抜けて取りに行って。
おじいちゃんの目の前にしゃがみこんで
片付けるために持っていた袋の中に入れた。
爺「ごめんねぇ、ありがとう」
「いえ。あの、おじいちゃんおいくつなんですか？」
とても元気そうに見えていたおじいちゃんの手は
私が予想していた年齢のものとは少し遠くて。
爺「今年 72 だったかな？ 73 ？歳をとると年齢を数えることもなくなっちまってなぁ、」
智「今年 73 だよ」
その声にふっと目をあげると
壁に身体を預けてこっちを向いている大野先輩。
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作者名：花 | 作成日時：2018年2月22日 18時
