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それから水着に着替えて長めのパーカーを羽織って
凛子さんからタオルを受け取って外に出た。
砂浜手前で凛子さんは用事があると言って別れた。
水着に着替えてから見る海は一段とキラキラ輝いて見えた。
砂浜の向こうでは騒いでる先輩たちやみんなが見える。
海の家の前にはパラソル付きのテーブルと椅子が置いてあるからそこにタオルを置きに歩いた。
サンダルで歩くと中に砂が入り込んでくる。
くすぐったくて少し気持ちいい。
さっきより近づいた海から潮の香りがしてそっちを見ると
5人がビーチボールで遊んでいる。
大野先輩の見たことないくらい可愛い子犬のようなくしゃっとした笑顔に胸がきゅうっとして。
また凛子さんの話が頭をよぎる。
ーーお母さんは出て行ったの、私たちを捨てて…
そんな辛すぎる過去を聞くと一つ一つの表情がとても重いものに見えてしまう。
きっとそんな風に見られたく無いはずだって思うのに。
凛子さんの話を振り払うように頭をぶんぶん振って目を瞑って、新しい目で大野先輩を見た。
シャツを脱いだ身体は程よく鍛えられていて
海水か、汗か、額や身体がキラキラ輝いている。
くしゃっと笑った目元が可愛くってつられて私も笑顔になる。
極めつけが素肌に付けたネックレス。
水に濡れてキラキラしてすごく大人に見える。
大野先輩の方にボールが飛んできた。
サラッと拾って打ち返す。
今見てるところ一度もミスをしてなくて、運動神経も良いらしい。
櫻井先輩が頭の後ろを飛び越えて飛んできたボールに手を伸ばした。
紗那「あっ！」
と思ったら膝下まで浸かった水に足を取られて、そのまま後ろに転けた。
あの場にいるみんながお腹を抱えて笑い出した。
つられて私と紗那も目を合わせて笑った。
人生で一番心から楽しいと思える夏休み。
ヒーヒー言いながら腰を曲げた真緒が後ろを振り向いてこっちに気付いた。
真緒「あ、A、紗那！」
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作者名：花 | 作成日時：2018年2月22日 18時
