血 (ページ10)

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例の足のやつは鍵で外すものかと思いきや、テヒョンが簡単に鎖と輪の結合部分を引き裂いた。

見るからにそう安易に引き裂ける物ではないのに、一体彼は、誰なんだろう？

ぼーっと考えていると、目の前で手を振られたので驚いて肩をビクつかせた。

「また考え事してたでしょ。
早くリビング行かなきゃヒョン達に怒られちゃう」

そう言うと、謝りながらベッドから降り同時に私の手首を掴み、歩き出した。

部屋から出ると、さっき居た所よりも明るくて、目を細めるので視界が狭くなり転けそうになるがテヒョンは止まってはくれない。

気づいていないからしょうがないけど。

想像していたより宿舎は少し狭かったが、
それよりも想像していたよりとても綺麗な内装に感心し感動した。

「それ、今日のエサ？」

突然後ろから聞こえて来た声にまた驚いて変な声をあげてしまった。

けど幸いそれには触れてこないかったので安心した。

恐る恐る振り向くと、後頭部を掻きながら眠そうな目で、いや、元から細い目を更に細くさせ慣れたように聞くのは、あのパクジミン。

ノーメイクだからか、すごく幼く見える。
可愛いがさっきの一言をとても残念に思い苦笑を零した。

「違う、俺が探してって言った子」
「は？え、1日で見つかったの？」
「そー、グクが連れて来てくれたの！」
「へえ、凄いね。で、それ美味しいの？」

テヒョンから私に視線を移すと、若干前屈みで覗き込むように見てきたので慌てて顔を逸らす。

すると、テヒョンがすかさず私の肩を抱いて「やー、あんま見ないであげて！シャイだから！」とフォローしてくれた。

でも御免なさい、貴方の今のこれもやめて欲しいです。

元々男の人は苦手だというのに、これは恐怖と苦痛にしか感じられない。

あー、家に帰りたい。
お母さんのチーズタッカルビが食べたい。
ソユと遊んだりお話ししたりご飯食べたい。

そう想像し始めたら涙が溢れそうだった。

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