血 (ページ9)

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頭の中ではダメだと思っても、やはり彼の甘えるような目に私の意思は勝てなかった。

気付くと嬉しそうに笑うテヒョンに両手で手を握られていた。

あー…選択肢、間違えてないといいな。

心の底からそう思った。

あれ？ていうか傷口舐めるだけって、私極たまにしか怪我しないのに大丈夫なのかな？
2ヶ月に1回か2回あるかないかぐらいだから、私の前にテヒョンらが死んじゃうんじゃ？

頭に浮かんだ疑問を聞こうと口を開いたが、喉まで出てきた言葉を飲み込んだ。

彼らは私が本当にたまにしか怪我しないって事を知らないはず。

だから、血を流さない私を必要としなくなって捨てられて…いや、解放されて結果ハッピーエンド。

そうなれば1番だけど…上手くいくわけないよね

「…考え事？」
『え、あ、うん…はい、まあ』
「何考えてたの？まさか俺らを騙して逃げようとか？」
『そんな訳ないじゃないですかっ』

出来る限り疑われないように自然な感じで嘘を淡々と吐く。

自分の中の良心が痛むけど、この嘘はつかなきゃいけない嘘。しょうがない。

口をへの字にしながら、未だに手をニギニギしたうえに見つめてくる。

この行動は計算してるんだか、無自覚なんだか…

天然、四次元なんて言われてるから無自覚の方が納得いくけど

男慣れを全くしてないから正直なところを言うと、今すぐやめて欲しい。

しかも相手は防弾少年団のキムテヒョン。
整った顔に程良い筋肉のついた身体、細くて長い足。見かけによらず低い声にそれとは正反対の無邪気な性格。

いつしか私の中で彼はギャップ(萌え)の天才と称していた。

真の姿が血を飲む、人を食べる化け物だなんて知らずそう呼んでいた純粋な時期に戻りたい。

「ヒョーン」
「なにージョングギー」

ガチャっと再度開いたドア。
チラリと顔を覗かせたのは今1番憎い人ジョングク。

気付かれない程度に睨んでやる。

「他のヒョン達がAに会いたいって言うんで連れて来て下さい」

やっぱり全員と会わなくちゃいけない運命(さだめ)なのか…

ニギニギされる手を見てから、肩をがくりと落とした。

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