堕天使の少女と赤い悪魔【宗教松】 (ページ20)

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━━━19話ページ20

～南の森〜

ﾄﾝﾄﾝ

「どうぞお入りなさって」
『……』

ｶﾞﾁｬ

ｷﾞｨ……

「あら……堕天使なんて珍しい」
『天界から永久追放される天使なんてなかなかいませんよ』
「…そう。それで何の用ですの？」
『……魔女様にお願いがあるのです』
魔女「お願いが無くてここに来る生物なんていませんわ。それに魔女様って……何だかお婆さんぽくって嫌ですわ。私くしの名前はルミエイル・ボルセルクですわ。ルミエイルと呼んでくださる？」

"ルミエイル・ボルセルク"
南の森の魔女。不老不死の年齢不明な女の子。ロリな感じがするが、言葉遣いが見た目に合わずお嬢様言葉である。

『呼んでもいいと言われたならば喜んで』
ルミ「ええ。貴女のことは知っていますわ。回復魔法で唯一禁じられている"無の想"、"甦り"を使った天使の少女……貴女の力はこの南の森まで伝わってきましたわ。御蔭で庭の手入れが省けましたわ」
『……』
ルミ「にしても、もっと元気な子だと聞いていましたけれど……大切な人でも天界で失ったのかしら？天界の者は死体として残らないからその魔法を使うことは不可能ですものねぇ」
『……』
ルミ「私くしばかり話していてもつまらなくてよ？ほら、人間界でよく言うじゃありませんの"黙っていてばかりでは分からない"と」
『…それもそうですね。実は私は住む場所がありません。誰にも見つからない、小屋などをこの南の森に置いてくれませんか？』
ルミ「……貴女、魔女にお願いをするのはそれに比例するものがいるのを御存知でして？」
『はい』
ルミ「ましてや透明の小屋なんて……

面白いじゃない」
『……！』
ルミ「あら驚いた？私くし達魔女は悪魔と同じように何でも叶えてくれる悪い奴とでも勘違いしてらっしゃるのかしら？ふふ、確かに悪い依頼は多いですわ。ですけれど悪い依頼しか受け付けないわけじゃありませんのよ。悪魔とは違って……。魔女は実験しがいのある依頼を受けるのですわ。ですから悪魔とはいっしょにしないでくださいね」
『そうなんですか……』
ルミ「ええ。まぁ魔女は人間界の者ですから貴女のような天界の方はあまり魔女について知らないでしょうね。あっ今回はおまけしてその堕天使の羽根10枚でいいですわよ」
『え？そんなのでいいんですか？』
ルミ「そんなのでいいから私くしはそう言ってるのでしてよ？」
『ありがとう…ルミエイル』
ルミ「……名前を呼ばれるなんて久しぶりですわ」

ルミエイルは優しく微笑んだ