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ー車の中 13:30ー

私たちは順調にオークション会場へと向かっていた。

出発してから20〜30分程だろうか。

「そういえば、会場には何時に着かないといけないんですか?」
「大体16時前ぐらいかな。結構遠いんだよね」
「あんな辺境の地でやんなくてもいいのになー。まぁしゃーないとは思うけど、やっぱセンス疑っちゃうわ」
「そのくらいしないとすぐに見つかっちゃうじゃない。あのくらいが安心出来ると思うけど」

おそ松さんの事前の情報曰く、長野県にその会場はあるらしい。

詳しくは教えては貰わなかったが、森林にあるらしいので、行く前にチョロ松さんがぼそっと運転がめんどくさいと言っていた。

「3時間ぐらい車にいるわけだからな。ちゃんと水分補給するんだぞ」

カラ松さんは体を斜め後ろにし、冷たい水のペットボトルを私に渡した。

「ありがとうございます」
「それ飲んだらトト子にもちょうだーい」
「わかりました」
「トト子ちゃんの分もあるぞ」
「じゃあそれちょうだい」

貰った水を飲もうとペットボトルの蓋を開ける。

するとひゅっと、窓ガラスの割れる音と何かがものすごく速い速度で動く音。

そして、目の前の私の手に被さる誰かの手。

赤い液体が頬に当たった。

「ってぇ…はは、さすがに避けれなかったわ。いや、でもほら、俺の手の骨で弾丸止まったからさ、れいの手は怪我してねぇよな。とりあえずよかったわ」

襲撃に気づき、トト子さんは周囲を確認し、カラ松さんは銃の準備をしてた。

チョロ松さんは舌打ちをしながら車の走るスピードを上げる。

バクバクと心臓が動く。

爆発しそうな焦り。

「おそ…松さん、ご、ごめんなさい、私の…せいで、ぁ…止血、しなきゃ…ですよね」

手が震える。

自分の不出来さが、おそ松さんの血を流させた。

私は車の座席後ろにあった救急箱から布地を取りだしでおそ松さんの手を止血した。

「弾丸も、抜かなきゃ、ごめんなさい…ほんとに…」

私は救急箱の中からピンセットを取りだし、おそ松さんの手から弾丸を抜き取る。

震えを無理やり抑えた右手でゆっくりと弾丸を抜く。

麻酔もないため、痛みを耐えるしかないおそ松さんはとても痛そうだった。

それにもかかわらず、おそ松さんは私の震える左手にそっと手を置いてくれた。

こんなにも、自分の命が惜しいと、私のせいだと言ってもいい状況であるのに

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作者名:翡翠葛@優杏 | 作成日時:2022年7月22日 20時

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