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目を開けると、目の前は真っ白だった。

夢を見ているみたいだった。

白い目の前の景色の中に、1人の髪の長い銀髪で後ろ姿の美しい女性が立っていた。

まるで吸い込まれるようだった。

女性に魅入っていると、女性が後ろを振り返る。

その瞬間

目がえぐれたようにどす黒く、泣き続ける美しかったであろう女性の顔が目と鼻の先にきた。

その顔はゆっくり私の耳元へと移動した。

「ゎ…かる…」

女性は掠れた声で何かを言う。

「も…ぉ、ぃ…たぁ…ぐない」


「あなたは、始まりよ」


ー???ー

目を開けると、目の前は真っ白だった。

ただ、さっきと違うのは

ここが現実だということ。

「…ふんふふーん…らぁーららー…」

不思議な安心感と、違和感。

なぜか歌いたくなった。

でもこれは、私では無い気がした。

「れい!大丈夫か!?」
「…ぁ…」

目の前にいるのはカラ松さんだ。

なぜだか久しぶりな感じがした。

起き上がって話そうとしたけれど、

なぜかすぐには動かなかった。

しかし、その違和感も一瞬で。

「か、カラ松…さん…」
「れい…よかった…」

何が良かったんだろうか。

カラ松さんの反応の意味がわからなかった。

「私は…何を…」
「…記憶に、ないんだな…」

そんなこと言わないで欲しかった。

きっと悪いことをしたんだな

私は自覚のない記憶に恐怖心を抱く。

「ごめんなさい…」
「いや、謝らないでくれ。君が忘れたなら全てを説明するから」

そう言ってカラ松さんは私の頭を撫でた。

「トド松が、れいの…本当の名前を言ったら、突然れいがなんの表情もし無くなったらしい。その後にれいの様子がおかしくなって、次の瞬間気絶したそうだ。今それから2時間ぐらいってところだな」

自分の行動を振り返る。

あのほんの数秒で、私は何を見たんだろう。

ただ血なまぐさい、先祖の悲しい物語。

これを、私はこの人に言うべきなのだろうか。

「なにか思い出したか?」
「あ、えっと…まぁ…突然頭が痛くなったことだけ、覚えてる。でももう大丈夫だから。心配しなくていいよ」
「…そうか、よくなったならそれでいいさ」

優しく、私の頭を撫でる。

愛おしそうに見つめながら。

何も聞かずにいてくれた。

私は、言うべきじゃないんだ。

少なくともまだ今は、言うべきじゃない。

まずは自分の中で、この物語のどこがおかしいのか…

別に理解してからでも、きっと遅くはないでしょう?

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作者名:翡翠葛@優杏 | 作成日時:2020年4月27日 9時

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