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その体勢のまま一松さんは器用に書類作業を終わらせていく。
その間私は端っこにあるものを取ったりなどした。
━━━━━
(一松視点)
俺の膝の上に座りながら、れいは寝てしまった。
完全に俺にもたれかかった状態だ。
おそ松兄さんと話したりして、神経使ったのだろう。
無理もないかと思いながら、書類に目をやる。
今度やるオークションの詳細内容の書かれたものだ。
今回のオークションで売られるのは主に宝石、20前の人だそう。
会場、物の警護の依頼である。
オークションで販売される宝石は鉱業権を登録せずに行われたり、密輸されたものが殆どな為、公で取引ができない。
｢…めんどくさ…｣
警備には3人以上と書かれてある。
これを全員に言わないといけないのがめんどくさい。
｢っ…た…｣
自分じゃない声が聞こえた方に目をやる。
どうやられいが言ったみたいだ。
寝ているのを見るのはこれで4回目ぐらいだが、寝言を言ってるところなんて見たこと無かった。
｢ぃ…たい…いたぃ…｣
｢れい？｣
苦しそうに言うのを見てられず、れいを起こそうとする。
｢いや…ぅ…たすけ…て｣
れいの頬に一筋の涙が伝う。
｢れい、れい｣
━━━━━━
(れい視点)
怖い。
痛い。
あの頃を思い出す。
誰かに助けを求めていたら
助けてくれる人がいたら私は違ったのか。
誰かに助けて貰えたら
どれだけ良かったか。
｢れい｣
はっと、その言葉で目を覚ます。
｢いち…まつさん…寝てた？｣
｢うん…魘されてたから起こしたんだけど…｣
｢…ありがとう｣
顔に手を当てると、べたっとした感触がした。
｢あれ…一松さん、私の顔になにかついてる？｣
｢ついてるっていうか…｣
一松さんは私の頬に手をやり、親指で目尻を撫でた。
｢泣いてる｣
一松さんは心配そうな目で私を見る。
｢…最近…すごく、涙脆くなった…｣
私は一松さんから目を逸らす。
｢今まで、泣けなかったのに｣
そう言うと、目をやった先の書類の文字に目がいった。
｢一松さん、これは？｣
｢え？あぁ…これはオークションの…簡単には護衛依頼の招待。ここに連絡して、当日はこの用紙と一緒に手紙に入ってた招待状で入る。これで会場にはいるから、購入側にもなれる。｣
｢そうなんだ…｣
今までの書類の文面にはなかったので、オークションという文字に目がいってしまった。
｢一松さん、これ…私も行ける？｣
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作者名：翡翠葛@優杏 | 作成日時：2020年4月27日 9時
