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「そういうものかな…」
「そういうもんだよ。それに…」

いつもテンションの高いバカは、後ろめたさを感じさせる目をした。

「れいには、俺とお前らとで線引きしねぇと」
「そんなことする必要あるわけ?」
「俺もれいも、恋愛感情を持つ訳にはいかないじゃん」

いつもただのバカだと思っていたけど

なぜだかおそ松兄さんは、今日は弱々しい。

「俺とれいは、上下関係がなくちゃ成り立たないんだよ」

どこか遠くを見るように話す。

僕には、そこまでして貫き通すおそ松兄さんが理解できない。

そこから、僕達は言葉を交わすことは無かった。

ただ、れいちゃんが来るまで待った。

ーれい視点 15:40ー

「出来上がりました」

私は今の扉を開けながら、そう言って机の上にオムライスを置く。

「うひょー!うまそー!」
「手抜きですが、不味くはないかと」
「いや、十分だよ。僕達じゃあせいぜい米を炊くぐらいしかできないからね」

いただきますと言ってスプーンを手に取って食べ始める。

「なんかこれ、すごいコクがあるね」
「オイスターソースを入れたの」
「れいちゃんってすごいね…どこでこんなこと覚えたの?」

一瞬、胸がドクンといった。

「…本で見たんだ」
「なるほどね。料理本とか見たことないからわかんないや」

少し笑いながらチョロ松さんはそう言った。

しかし、私は料理本など見たことない。

ここに来る前も見たことない。

この隠し味はどこで知ったのだろう。

私はどこで知ったのだろう。

ふと思った。

私は誰よりも

私を知らない。

━━━━

2人はオムライスを食べ終わりお粗末さまでした、と言ってくれた。

「先程オムライスと一緒にチョコプリンも作ったので、取ってきますね。…チョロ松さんも食べるよね?」
「あ、うん。あったら欲しいな」
「わかった。チョロ松さんの分も作ってあるから持ってくる」

私はおそ松さん達の食器を持ち、台所に向かう。

冷蔵庫には40分ほど冷やしていたチョコプリンが6つあった。

「…やっぱり…」

いらないかな。

6つも作る必要なんてあったのだろうか。

良くない感情が私を取り巻く。

私は2つだけチョコプリンを取り出し、ホイップクリームを付け、おそ松さんの方にいちごを乗せた。

「お待たせいたしました」

私は居間に戻り、それぞれの目の前にチョコプリンを置く。

「俺の方だけいちごあるじゃん!」
「ご褒美にと…約束…していましたので。特別に乗せました」

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作者名:翡翠葛@優杏 | 作成日時:2020年4月27日 9時

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