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彼は少し目を見開いた後、横に顔を逸らした。

「どうかしましたか?」
「いや…なんでもねぇよ。それより、作ってくれるんだろ?ケーキ」

そう言いながら、ひょいっと体を起こす。

「ケーキと言えるほどのものではないのです…が…」

私も立ち上がろうとした瞬間、脚にビリッとした感覚が全体に駆け巡った。

「どっかした?」
「…脚が…痺れたと言うのでしょうか…」
「…くふ…あはは」

声を出して笑うおそ松さん。

そんなに面白いことなのだろうか。

おそ松さんは笑いながら、私の脚をツンっと触った。

「っ〜おそ松さん…やめて貰えませんか…」
「えーいいじゃん。あ、てかさ…」

突然私の体がふわりと宙に浮いた。

一瞬のことで驚きが勝り、ビリッとした脚の痺れは気にならなかった。

今私はいわゆる横抱き、お姫様抱っこ状態だ。

「こうすればいいんじゃね?」
「いえ…あと2、3分したら歩けるので下ろしていただいてもいいですか」
「俺がこうしたいんだよ」

そう言う彼の表情はとても真剣だった。

だから私はそれに何も言い返せなくて。

「…安全運転でお願いします」
「わかってるよ」

クスッと笑いながら、扉を開けて部屋から出て行った。


━━━━
ー居間 15:20ー

ガラリと居間の扉を開けると、チョロ松さんが居た。

「あ、おそ松兄さん仕事終わった?」
「それなりだなー」
「私が見たところ多分3分の2ぐらいかな」
「なるほどね。てか、なんでおそ松兄さんはれいちゃんのことをお姫様抱っことかしちゃってるわけ?」
「可愛いからに決まってるだろー」

そう言いながらおそ松さんは私を地面に下ろした。

足の痺れはなくなっていた。

「運んでくださってありがとうございました」
「どうしたしまして」
「それじゃあ、お昼とスイーツ作ってきます」
「あ、ちょっと待って」

私が立つと、チョロ松さんが私を引き留めた。

「その、えっと…僕の分も…作ってくれない?」

顔を赤らめて言う様子を見ると、お腹がすいていた様だ。

「うん。おそ松さんと同じオムライスでいい?」
「いいよ。ありがとう」

私はキッチンへと向かった。


ーチョロ松視点 同時刻ー

「おそ松兄さんさ、れいちゃんにいつまでも敬語使わせてるけど…外してもらった方がいいんじゃないの?僕らといちいち口調変えるの大変そうだし」

おそ松兄さんは新聞を開いて、何かを見始める。

「れいはそんなこと苦にも思わねぇよ」

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作者名:翡翠葛@優杏 | 作成日時:2020年4月27日 9時

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