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子供のように首を傾げ聞いてくるおそ松さん。
「おそ松さんがそれを望むのなら」
「よし!じゃあ決定な!」
彼はそういいながらスキップでこっちに向かってきた。
「ほい書類!」
「はい。受け取りました」
私は貰った書類を軽く整理整頓をした。
「では終わらせていきましょう。おそ松さん、頭を乗せてもらえますか」
「おう…いくぞ…」
ごくりと息を飲んで、私の太ももに頭を乗せた。
「あぁ…やべぇ〜…お兄ちゃんダメ人間になりそう」
「ダメ人間になってはいけないのですか?」
「えーそれ聞いちゃう?」
「聞いてはいけなかったでしょうか」
「んーそうじゃないけど…」
おそ松さんは私から目を逸らす。
「甘え…続けたくなるからさ」
そう言って、少し悲しそうな表情をみせる。
こんな時、どうするのが正解なのだろうか。
「…甘えるのは、いけないこと…なのでしょうか」
そう言うと、こちらに目をやってくれた。
「あ…私のような人はさておき…おそ松さんは様々なことでご活躍しています。お兄さん達のこと一番に想ってなんでも行動して、判断力があって、とても素晴らしいです。そんな人が甘え続けたいと言うのは、なんとも愛らしいことではないですか」
目を見開いて、戸惑う様子。
おかしなことを言ってしまっただろうか。
「れいだけだわぁー…そんな風に、俺を見てくれる人間とか…」
「…皆さん口にしないだけですよ。おそ松さんはとても素敵な方です。そんな方に甘えてもらえるなんて、光栄です」
「…れいのいい所は、他人のいい所を見ることができるところだな」
『人を思いやろうとするところ』
カラ松さんはそう言ってくれた。
2人の間で、私への認識はここまで違うのか。
きっとカラ松さんには、私が無理しているように見えて
おそ松さんには、自然に見えるのだろう。
「…どうした?」
心配そうに私の瞳を見るおそ松さん。
「…気にしないでください。仕事を進めましょう」
書類を手に取り、目を通し始める。
2人の言葉が脳内を駆け巡る。
一体私は、どのような人間なのだろうか。
ー5時間後ー
「これで最後です」
「あー…腹減った…」
「すみません。長時間に渡ってしまって」
「ほんとだよー…というわけでケーキ!」
「…ふふ」
私がくすっと微笑むと、彼はきょとんとした表情でこちらを見た。
「ごめんなさい。おそ松さんがなんというか…とても愛らしいと感じました」
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作者名:翡翠葛@優杏 | 作成日時:2020年4月27日 9時