検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:3,792 hit

86 ページ36

子供のように首を傾げ聞いてくるおそ松さん。

「おそ松さんがそれを望むのなら」
「よし!じゃあ決定な!」

彼はそういいながらスキップでこっちに向かってきた。

「ほい書類!」
「はい。受け取りました」

私は貰った書類を軽く整理整頓をした。

「では終わらせていきましょう。おそ松さん、頭を乗せてもらえますか」
「おう…いくぞ…」

ごくりと息を飲んで、私の太ももに頭を乗せた。

「あぁ…やべぇ〜…お兄ちゃんダメ人間になりそう」
「ダメ人間になってはいけないのですか?」
「えーそれ聞いちゃう?」
「聞いてはいけなかったでしょうか」
「んーそうじゃないけど…」

おそ松さんは私から目を逸らす。

「甘え…続けたくなるからさ」

そう言って、少し悲しそうな表情をみせる。

こんな時、どうするのが正解なのだろうか。

「…甘えるのは、いけないこと…なのでしょうか」

そう言うと、こちらに目をやってくれた。

「あ…私のような人はさておき…おそ松さんは様々なことでご活躍しています。お兄さん達のこと一番に想ってなんでも行動して、判断力があって、とても素晴らしいです。そんな人が甘え続けたいと言うのは、なんとも愛らしいことではないですか」

目を見開いて、戸惑う様子。

おかしなことを言ってしまっただろうか。

「れいだけだわぁー…そんな風に、俺を見てくれる人間とか…」
「…皆さん口にしないだけですよ。おそ松さんはとても素敵な方です。そんな方に甘えてもらえるなんて、光栄です」
「…れいのいい所は、他人のいい所を見ることができるところだな」

『人を思いやろうとするところ』

カラ松さんはそう言ってくれた。

2人の間で、私への認識はここまで違うのか。

きっとカラ松さんには、私が無理しているように見えて

おそ松さんには、自然に見えるのだろう。

「…どうした?」

心配そうに私の瞳を見るおそ松さん。

「…気にしないでください。仕事を進めましょう」

書類を手に取り、目を通し始める。

2人の言葉が脳内を駆け巡る。

一体私は、どのような人間なのだろうか。


ー5時間後ー

「これで最後です」
「あー…腹減った…」
「すみません。長時間に渡ってしまって」
「ほんとだよー…というわけでケーキ!」
「…ふふ」

私がくすっと微笑むと、彼はきょとんとした表情でこちらを見た。

「ごめんなさい。おそ松さんがなんというか…とても愛らしいと感じました」

87→←85



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:翡翠葛@優杏 | 作成日時:2020年4月27日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。