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「…おい…しい…」
「んだろ…って、えぇ!?なんで泣いてんだぁ!?」
私はいつの間にか、涙が流れていた。
「あー!チビ太がれいちゃん泣かせたー!」
「えぇ!おいらのせい!?」
「女の子泣かせるとか!クズ!最低!このひとでなし!」
「おめーらに言われたくねぇやい!」
十四松さんとお兄さんがチビ太さんのことをものすごい勢いで罵倒する。
「違うよお兄さん。違うの…なんか、気持ちがこもっていて、こう…懐かしい、というか…」
そう言いながら、おでんのちくわぶを口に運ぶ。
口の中から癒されるような…そんな感覚だ。
「こんなに、美味しいもの初めてです。以前に美味しいものを食べたことがあるのかもしれないけど…味を覚えていないので。こんなに美味しいって思える食べ物があるって、幸せですね」
とんっと、私の頭にお兄さんの大きな手が乗る。
優しく、髪を崩さないように撫でるお兄さんは、すごく落ち着いた。
「…てやんでぇ…なんか照れくせぇじゃねぇかよバーロー…じょーちゃんの分はおいらの奢りだ!沢山食えよ!」
「えーチビ太ー僕達のはー?」
「てめぇらは6年前のツケ早く払ってんだいバーロー!何年待たせる気だバーロー!」
「だってー!チビ太TayPayできないじゃん!遅れてるんだよー!」
「そーだそーだ!」
「はぁーこれだからキャッシュレス派はよバーローちくしょう!」
その後、十四松さんはビールなども飲んでいた。
お兄さんは運転するから、ビールは飲めないとのことだった。
私はチビ太さんに沢山おでんを出されて、満腹になるまで食べた。
最後お兄さん達はチビ太さんが紙で提示した6年前のツケを3分の1払って、ちゃんと今回の代金も払った。
「「ご馳走様/ったした!」」
「ご馳走様でした」
「また来いよバーロー」
「次来る時は兄さん達に請求してね!僕と十四松兄さんは自分の分払ったんだから!」
「わかってんよバーロー!特におそ松からうんと搾り取らねぇとな!」
ニカッと笑った後、チビ太さんは私と目を合わせた。
「じょ…れいちゃんっていったか?あんま無理すんなよ。まだわけぇんだからよ。」
「…はい。ありがとうございます。チビ太さん」
「…良い子だぜ…バーロー」
チビ太さんとさようならをして、私とお兄さん達は車に乗った。
十四松さんはべろんべろんに酔っていたようで、車の後ろの座席に乗るとすぐ寝てしまった。
代わりに私は助手席に座る形だ。
お兄さんは、車を走らせた。
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作者名:翡翠葛@優杏 | 作成日時:2020年4月27日 9時