まいにち

いただきます　たつ ページ20

｢ただいま｣
｢おかえりぃ｣
玄関開けたら飛び付いてくる可愛い嫁。

いやいや、俺は怒ってるんやで？
ってそんなほっぺスリスリしてきたらアカン。
にやけてしまうやんか。

しかもウチの子、察するのは早い。
さっさとリビングに入った俺になんか感じたんやろ。

｢今日なぁ、早く終わったん｣
｢ふぅん｣
｢ご飯作ってまっとったのになぁ｣
｢ふぅん｣
｢たぁ、ご機嫌ナナメなら片してしまおぅかなぁ｣

テーブルには着替えるタイミング見計らってくれたんか
ホカホカの料理が並んでる。
しょうが焼きと小鉢にきんぴら。浅漬けもある。

キッチンから流れてくるふんわり優しい匂いは

｢粕汁あるん？｣
｢そぉやで｣
｢食べる・・・｣
｢ご飯は？｣
｢大盛りで｣
｢ん。了解。ビールは後でええ？ほな、座って？｣

ニコニコと粕汁用意してる隆平。
いじらしいっていうか愛らしいっていうか。
昨日のことがあったからやんな。
キッチンまで追いかけて行って後ろからぎゅっと抱きしめた。

｢んー。火ぃかかってるから危ないで？｣
｢りゅぅ、ごめん｣
｢ふふふ。耳朶パクってするより粕汁のほうが効果あるなんてなぁ｣
｢ほほえみコンビに粕汁はアカン。
亮ちゃんがまたりゅうに惚れ直してしまう｣
｢俺かて章ちゃんにはヤキモチ妬くんやで？
なんでかんで可愛らしいもん｣
｢中身、バリッバリのオスやけどな｣

ふたりでゲラゲラ笑う。
ちゅってキスして冷めちゃうから食べよってまた笑う。

テーブルに向かい合って座って

｢いただきます｣

隆平のご飯は優しい味がする。
人柄が滲み出てるっていうかな。
おいしく食べてもらおうって気持ちが詰まってる。

｢うんまっ｣
粕汁だけじゃないん。
しょうが焼きはどっかのお店の味、再現するんやーって
言うて研究したくらいやからお肉も柔らかくてご飯がすすむし
きんぴらは蓮根さんやねん。
おばあちゃんのレシピ教えてもろたんやって。

｢ホンマに？良かったぁ｣
嬉しそうな顔して。
ホンマにウチの子、可愛らしいわぁ。

｢あ。昨日亮ちゃん餃子食べたんやろ？ええなぁ｣
｢まだまだ冷凍してあるし明日食べよ？｣
｢おん。じゃぁ、俺麻婆豆腐作っとくわぁ｣
｢ええねぇ。楽しみやわぁ｣

あー。幸せ。
おいしいご飯と愛しい子。
もちろんこのあとは甘いデザートいただきまっせ。

隆平、覚悟しぃや？

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