トクベツ きみたか3 ページ33
ふたりで湯船に入った。
後ろから抱きかかえるように引っ付く。
狭いなぁって言うけど、たまにはこんなんもええやんか。
｢あんな。俺案外嫉妬深いねん｣
ポツリと前向いたまんま信五が呟く。
｢見返りなんてなくてもええし
アンタが他の誰か見つけて幸せになるんやったら
ソレはソレで応援できるんやないかって思ってた。
それが俺の愛しかたなんやって｣
｢でも、ちゃうわ。
アンタが誰かのもんになるなんて想像しただけで苦しかった。
たとえ、それがマルだったとしても｣
｢マルやったら仕方ないやん・・・
アイツには勝てんもん。可愛らしくて素直で。
アンタやってマルのこと思うとったやろ？｣
ポツリポツリ。
信五の言葉が落ちてくる。
｢なぁ、俺のこと好きか？｣
三角座りした背中がきゅうっと小さくなる。
子供みたいに頼りなく見えて
思わずぎゅうっと抱きしめとった。
｢好きに決まっとるやんか｣
こんなとき、俺はうまくものが言えん。
伝えたい言葉も。
伝えなくちゃいけない言葉も。
信五の首筋に顔を埋めて
きつく抱き寄せるのが精一杯で。
｢オマエ以上に大事なヤツなんてこの世におらん｣
そう言うのが精一杯で。
この腕から触れている肌の全てから
この思いが信五に流れ込んでいけばええのになんて
そんな身勝手なことを考えてた。
くるんとこっちに向き直った信五は
いつも通りの信五で
｢アホ。そんなにぎゅうぎゅうせんでも知ってるわ｣
ニカっと笑う顔はキラッキラの雛ちゃんスマイル。
｢アホはそっちや。無理に笑うな｣
ん・・・
きゅうってアイドルスマイルが引っ込んで
また泣きそうな目ぇして見上げてくる。
｢俺はオマエの、や｣
下唇噛み締めた信五にちゅっとキスしたら
｢当たり前や｣
べそかいたまんまで意地をはる。
のぼせるからあがるで？
ザバァッと立ち上がって
さっさと風呂場から出ていく後ろ姿に
｢あいしてるよ｣
呟いたら
｢知っとるわ｣
ガハハと笑ういつもの声がした。
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cayochi(プロフ) - ウメちゃんさん» ありがとうございます。楽しみにしてくださる方がいるなんて、本当に幸せです！ (2019年3月28日 23時) (
レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
ウメちゃん(プロフ) - ぜひ、まだまだ続けてください！楽しみで仕方がないので(*´∇｀*) (2019年3月27日 17時) (レス) id: 222b67b008 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - じゅんじゅさん» コメントありがとうございます。私昔からあの曲大好きだったので、どうしてもどこかでお話に使いたくなりまして。番組でしみじみ聞いていた横山さんに昔の恋を思い出してモもらいました(笑) (2019年3月12日 1時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
じゅんじゅ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに読ませていただいています。大江千里さんのRainですね。あの曲を思い出しながらもう一度読ませていただきました。 (2019年3月11日 2時) (レス) id: fea29e1eac (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» ふふふ。私も気になります(笑)雛ちゃん、本当に誉めて伸ばすのが上手！みんな雛ちゃんから誉められるとめっちゃ嬉しそうですし。ついつい余計なこと言っちゃいますよねぇ。雛ちゃん見習わなきゃ！ですね。 (2019年2月25日 15時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cayochi
| 作成日時：2018年12月31日 18時
